『いつか、ヒーロー』第4話考察。北村有起哉&宮世琉弥のやり取りに恐怖…日本人は「庶民的な独裁者」を望んでいる?【ネタバレ】

text by 西田梨紗

桐谷健太主演のドラマ『いつか、ヒーロー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が現在放送中だ。本作は、20年間消息不明だった謎の男が、夢を失くした若者達とともに腐った大人を叩きのめす不屈の復讐エンターテインメント。今回は、第4話のレビューをお届け。(文・西田梨紗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:西田梨紗】

アメリカ文学を研究。文学研究をきっかけに、連ドラや大河ドラマの考察記事を執筆している。社会派ドラマの考察が得意。物心ついた頃から天海祐希さんと黒木瞳さんのファン。

好景気を知らない若者

『いつか、ヒーロー』第4話©ABCテレビ
『いつか、ヒーロー』第4話©ABCテレビ

 第4話は、誠司(桐谷健太)と要蔵(でんでん)が「失われた30年」と書かれた新聞の一面を川辺で眺める場面から始まった。誠司が「30年しか生きてない あいつらは どうすりゃいいんだよ」とつぶやいていたように、若い世代は経済が繁栄していた頃の日本を知らない。

 筆者は誠司の教え子であるゆかり(長濱ねる)たちと同世代であるが、高校生頃まではファッション雑誌や駅前の商業ビルがキラキラ輝いていたように思う。しかし、社会人になった頃から、駅前の商業ビルの多くが営業規模を縮小化し、さまざまなものにおいて“コスパ”が重視されるようになったと感じている。

 私たちの世代では“ボーナスで高額なブランドバッグを買おう” “老後は海外旅行をたくさん楽しみたい”といった景気のよい話はあまり聞かない。活力と好景気に満ちた日本を知らないからこそ、夢を抱いたり、高級志向を抱いたりするのは難しいように思う。

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