公威(北村有起哉)と海斗(宮世琉弥)は何を目指しているのか?
フトゥールム買収の会見前、公威(北村有起哉)が海斗(宮世琉弥)と“日本人が今一番望んでいるものとは、庶民的な独裁者の誕生”と会話を交わす場面があった。
公威は大企業の会長でありながら、庶民派だ。駄菓子を開発し、自分でもそれをよく食べているし、政治部の記者・十和子(板谷由夏)との食事に選んだ店はカジュアルなハンバーガーショップだった。前回の放送で公威は“親から兄弟と比べられて辛い思いをした”と語っていたが、本放送では若者が生きにくいといわれる現状について笑いながら次のように述べる。
「この国 未来ないよ? 子どもは生まれないわ じじい ばばあ どんどん増えるわ イノベーション起きないわ 非正規雇用で 人件費削られまくりだし 若い人さ そりゃ 生きられないよ しんどいって」
公威は幼い頃の苦しい体験から弱い立場にある若者に寄り添い、現状を変えようとしているようにも思えるが、話はそう単純ではなさそうだ。
園長・司(寺島進)が亡くなった後、公威は希望の道の閉鎖に重要な役割を担ったと考えられる。この男は希望の道の写真を重厚な額縁に入れて部屋に飾っているが、写真を見ながら「楽しかったな」とつぶやいていた。
誠司はテレビに映る公威を見て思い出していたが、彼はこの施設で子どもたちと交流したことがあるようだ。それにもかかわらず、公威は希望の道が建っていた土地を港区の一等地と引き換え、自社の利益を大きく上げた可能性が高い。
公威は自社名を「ドリームグループ」とし、政党名も「夢輝く未来党」としているように、夢という言葉にこだわりがある。しかし、彼の夢とは、多くの人が想像する夢とは異なる、独自の夢に思えてならない。「ドリームグループ」「夢輝く未来党」には、彼の歪んだ性格や心の闇が投影されているように感じられる。
また海斗についても進展があった。いぶきによれば、彼は一人親支援団体のメンバーとして食品などの提供を行っていたという。飲めばラクになる薬をもらったとも話していた。
公威と海斗は厳しい境遇にいる人に毒に渡して、救おうとしていると思えてならない。厳しい現状は簡単には変わらないから、この世から退かせて楽にしてやろうということだろうか。しかし、どんな理由であろうと人の命を奪うことはあってはならない。
誠司や光(泉澤祐希)はドリームグループの闇に立ち向かおうとしているが、彼らは歪んだ正義に打ち勝てるのだろうか。
(文・西田梨紗)
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