美海(前田花)と“本当の親子”になるために…。

ドラマ『あなたを奪ったその日から』第3話©カンテレ
ドラマ『あなたを奪ったその日から』第3話©カンテレ

 娘の灯(石原朱馬)を失ってからというもの、1人で生きていくことを選んだ紘海。復讐心から愛情に変わっても、美海のことは灯の代わりなのだと思っていた。けれど、紘海は「違う」と言った。時折灯の思い出を重ねることはあっても、美海自身の好きなものや夢を大切にしているのが何よりの証だろう。

 紘海にとって、美海は“支え”だ。でも、だからこそ彼女のためなら何でもしなければという、使命感にも似た親心を焚き付けてしまったのかもしれない。とても正攻法とはいえない方法で美海の戸籍を手に入れた紘海は、美海と“本当の親子”になる。

 彼女のしあわせな未来のために、過去も恨みも捨てることにした紘海。灯の写真と赤いリボン、臍の緒が入った木箱にかたく鍵をかけ、クローゼットの奥深くにしまったシーンは、まるで紘海の覚悟をあらわすかのような象徴的なシーンだった。

 今回、倉田瑛茉から美海役を受け継いだのは、前田花。冬ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)での主人公・まどかの幼少期役や、現在放送中の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)での花の井の子ども時代・あざみ役の好演が記憶に新しい。

 前田は美海を、天真爛漫に演じてくれた。くったくなく紘海に話しかけるさまは、苦しいほどにまっすぐ。第3話限りの出演だが、その存在感は大きな輝きを放っていた。

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