団地で循環しているたくさんの愛
会社の上司・唐(福士誠治)から、地方移住の魅力を伝えられたさとこは、“自然の力で体調を整える”という言葉に惹かれ、移住を考えるようになる。
「住む場所って、仕事で決める人がほとんどでしょ? けどさ、本来住む場所って、自分の身体に合った土地に構えるのが正しいんじゃないかな」と言う唐の考えも理解できる。ただ、マシコ(中山雄斗)が言うように、現在のさとこは体調が悪くて生活もギリギリなのに、移住なんてハードルが高すぎる。
だが、そこで唐が言っていた「だからこそ、大きく生活を変えることも考えた方がいいんだよ。彼女にとって、今の生活がベストかなんて、誰にも分からないよ」という言葉が、すごく胸に響いた。
もちろん、どうせ目標を立てるのなら、叶えられた方がいい。でも、さとこのようにちょっぴり後ろ向きになっている人にとって大切なのは、目標を持つこと。それが、未来に希望を持つことにもつながっていく。
結局、さとこは寒さで風邪をひいてしまい、「こんな健康状態では、移住は無理だ」と諦めることになる。しかし、ちょっとでも前向きになれた時間があったのは事実だ。
また、高くて買えない…と諦めていた金柑を、司からお裾分けされた時のさとこの笑顔を見て、「幸せってこういうことなのかもしれないなぁ」と思った。そして、いつも「何かお礼をしなきゃ!」と思ってしまうさとこの性格を察して、司が「お礼お断り」という札を玄関に貼っていたのもじわじわくる。
今までのさとこなら、金柑を煮たものを司に渡してお返しをしていたはずだ。でも、今回のさとこは同じ団地に住む高校生・弓(中山ひなの)に、金柑煮をお裾分けしてあげていた。これは、恩返しならぬ恩送り。これもひとつの愛の形だなぁと思う。こうして、この団地ではたくさんの愛が循環しているのだろう。
(文・菜本かな)
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