「人それぞれ」を推奨してきた『対岸の家事』
思えば『対岸の家事』はいつだって「人それぞれ」を推奨してきた。子育てでも何でも人それぞれのペースがあるように、ロールモデルだって人それぞれ違う。その人によって正解は違うのだから、ロールモデルにふさわしいかふさわしくないかという議論自体がナンセンスなのだ。
礼子は社内のロールモデルに担ぎ上げられてしまったわけだが、彼女は彼女でバリバリと働いてキャリアの階段を上っていった陽子に憧れていた。最終的には出向させられてしまったとしても、陽子は礼子にとって「ifの世界の」自分でたしかにロールモデルだったのである。
自分の人生は自分のもの。他人によって決めつけられたり、押し付けられる筋合いなんてひとつもない。ビュッフェのように好きなものを選び、時には選べなかったものが頭によぎりながら、日々過ごしていくしかないのだ。そんな厳しくも温かいメッセージがドラマからはがつんと伝わってくる。
たまたまSNSでオリジナルストーリーが多いという情報を見つけたが、それを目にしていなければこれまで通りいい原作と脚本だったと納得していただろう。いい意味で全く違和感がない第6話は個人的にも心に深く残る60分となった。
若干棚上げされた感のある詩穂への「あなたのような専業主婦はお荷物です」という手紙は次回以降に解き明かされていくのだろうか。礼子にしろ、中谷(ディーン・フジオカ)にしろ家庭に新たな懸念が生まれ、どのような解決がなされていくか注目したい。
(文・まっつ)
【関連記事】
・【写真】多部未華子の存在に救われる…貴重な未公開写真はこちら。『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』劇中カット一覧
・『対岸の家事』第5話考察&感想。多部未華子が新たなロールモデルに…
・ドラマ『対岸の家事』第4話考察&感想。江口のりこ”礼子”の「悪気のない」発言が…。
【了】