あぶり出された医者側の課題

『Dr.アシュラ』第4話©フジテレビ
『Dr.アシュラ』第4話©フジテレビ

 患者の職業はラーメン屋の店主。店を営んでいるならば、一刻も早く復帰したいだろうし、常連にも心配をかけたくないと考えるだろう。そういった患者の背景や気持ちを汲んだ医療を、朱羅は提供したのである。

 第2話で大黒修二(田辺誠一)の息子を助けたときもそうだったが、命だけでなく、患者のその後の生活をも守ることが朱羅のいう“救う”なのだ、と。彼女の医療に触れて、あらためて背筋が伸びる思いがした。

「患者が医者を選ぶ時代」が到来した一方、「医者が患者を選ぶ」ことは問題視されるように思う。本回で、患者を選別する医師として描かれたひとりが、院長・不動勝治(佐野史郎)だ。東王大学病院の教授になるため、なんとしても新病院設立を成就させなければならなかった彼にとって、患者を選ばない「赤字」の救急科は目の上のたんこぶでしかない。

 だが、不動が事故で生死をさまよう重症を負ったとき。言い換えれば、不動が「他の病院に回せ」と拒否してきた患者と同じ立場になったとき、彼ははじめて救急科の志を痛感することになったのではないだろうか。

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