敵であっても命を救う救急科のプライド
不動を助けようと必死に奮闘するのは、目の敵にしていたあの朱羅や救急科だ。多聞真(渡部篤郎)が私利私欲のために病院を使っていた不動を、“助ける価値がない”と語る気持ちもわからなくはないが、それで命を見捨てては不動としていることはなにも変わらない。
どんな人も救われるべきというより、どんな人も絶対に助ける、と。ただ救命に猪突猛進な救急科は、人としても、医師としても、とても信頼感に満ちていた。患者を放棄する人は、たとえ師でも許さない。朱羅が「命の選別をするようなやつは出てけ」と多聞に放ち、背を向けて処置室に入っていくシーンは、まるで二人の決別を表しているかのようだった。
思いがけず不動の悪事に加担していた梵天が、再び朱羅に助力したときは、まるで背中を預けあうバディをみているかのような熱さがあった。「99%のゴッドハンド」が崩壊し、これまでの責任をとって心臓外科医を辞めようとした彼が転科したことで、新体制となる救急科。新たな仲間とともに、これからもさまざまな修羅場に立ち向かっていくのだろう。
個人的なハイライトでいえば、それは朱羅のやわらかい笑みが見られたことである。ほんのちょっとだけ口角をあげる微笑がクールで、じつに朱羅らしい。修羅場を経験させることで、大黒や梵天の人間性をも変えてきた朱羅。思惑渦巻く組織を変えてくれる日も、そう遠くはないのかもしれない。
【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
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