ヒーローを志す白河(前田拳太郎)の苦悩とは

『PJ ~航空救難団~』第3話 ©テレビ朝日
『PJ ~航空救難団~』第3話 ©テレビ朝日

 養護施設で育ち、施設の仲間たちのヒーローになりたいと救難員を目指した白河。それだけに、気負う思いは誰よりも強かったのだろう。その反動から自分の弱さに気付いたとき、大きな障害となってしまうのは自然な流れで、やはり全員で“卒業”するのは難しいのかと思わず不安になってしまう。

 だが、宇佐美は常に見ている。誰よりも早く異変を察知し、最初は「最近どうだ?ヒーローにはなれそうか?」という気安く声を掛ける。意識的にそうやっているというより、単純に学生たちのことばかり考えているから、そういった言葉が自然と出てくるのだろう。

 宇佐美はPJである前に人間であるということを理解している。だからこそ、最終的に白河に弱さを認めることを説く。一人で無理なら仲間に助けてもらえばいい、情けなくとも不安をぶちまければいい。それがPJになるための最初の一步であるかのように宇佐美は身を持って教えている。

 その場所は野球場で、即席の土俵だった。学生たちが宇佐美らに向かっていく姿はともすれば青臭く見えかねないのだが、そんな思いは微塵も浮かばない。それは、学生たちが何で苦しんでいるかが丁寧に描かれ、人間としての感情がしっかりと伝わってくるからではないか。

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