厳しい指導でも「パワハラ」に映らない描き方
もちろん、教官たちも例外ではない。普段は(主に宇佐美が)理不尽にも思える厳しい訓練を課しているわけだが、白河が脱落しそうになっている裏では机上できちんと向き合い話し合っていた。彼らがいかに学生たちのことを考え、なぜこれほど厳しくしているのかが透けて見えてくるようで、ちゃんとしたドラマの視聴者であれば、「パワハラだ」なんて意見はきっと出てこないだろう。
何より白河がヘリコプターから無事降下できたときの宇佐美の表情は忘れられない。まるで家族、父のように破顔し、学生への温かい思いが伝わってくる。「よくやった」という言葉に頬を緩める白河を見れば、こちらまで心がじんわりと温まってくる。
白河に救いの手を差し伸べたのは宇佐美だが、彼も彼ですべてをうまくこなせているわけではない。離婚を経験し、決して関係が悪いということではないが、娘の乃木勇菜(吉川愛)とのやり取りもなんだかギクシャクしている。そうした人間らしいところがある、というか人間らしいところしかないから、話を増すごとに宇佐美のことが好きになっているのだろう。
もっとも、第3話を通じて宇佐美がいかに教官という仕事に取り組んでいるかが娘には伝わり、今後きっと適切な距離を見つけていくことだろう。次の問題は宇佐美の12年前の過去、そして沢井の遭難事故になりそうだ。
【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
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