ドラマ『キャスター』第5話考察レビュー。“日曜劇場らしい”清々しい結末…阿部寛の長台詞に引き込まれたワケ【ネタバレ】

text by ばやし

ドラマ『キャスター』(TBS系)が現在放送中。本作は、テレビ局の報道番組を舞台に闇に葬られた真実を追求し、悪を裁いていく社会派エンターテインメント。3年ぶり6回目の日曜劇場主演となる阿部寛が、型破りなキャスターを演じる。今回は、第5話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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『情報合戦』報道の正義とは何か

『キャスター』第5話©TBS
『キャスター』第5話©TBS

「夜討ち朝駆け」は、新聞記者などが夜遅く、もしくは早朝に取材先へと赴くことを指す言葉だ。取材される側にとってはたまったものではないが、記者は独自のスクープや信頼関係を獲得するために、己の足で取材対象者の自宅まで通う。

 第5話は、そんな「夜討ち朝駆け」も辞さないJBNのチーフディレクター・梶原(玉置玲央)と社会部の記者・安藤(菊池亜希子)の報道に対する信念が垣間見えた回だった。

 梶原が独自に入手したのは、赤坂南署の警察官が起こした暴行事件の揉み消し事案。進藤(阿部寛)たちは、赤坂南署の竹野署長(緒川たまき)による内部告発の申し出を受けてインタビューを敢行しようとするが、時間になっても集合場所に彼女は現れなかった。

 さらに竹野署長は、緊急で行われた会見で一転して暴行事件を否定する。その一連の騒動は「くれぐれも情報漏洩にはご注意ください」という山井プロデューサー(音尾琢真)の言葉が守られなかったことを意味していた。

「スクープとは情報合戦。戦いだよ」と言い切る進藤。彼の言葉には、社会部の記者や公共放送のキャスターを経験して、数々の歴戦を勝ち抜いてきただけの重みがあった。

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