出る杭はめったうち
“報道と忖度の交差点”

『キャスター』第5話©TBS
『キャスター』第5話©TBS

 取材する側とされる側。山井プロデューサーが話したように、その不思議な関係が次第に特別な信頼で結ばれることは、現実でも実際にあることなのだろう。しかし、その信頼関係は彼らのポストが昇進していくにつれて、忖度や癒着へと名前を変えていく。

 独自スクープをもらった引き換えに、進藤はJBNの国定会長(高橋英樹)と村崎参事官を引き合わせる。村崎参事官は上機嫌にお礼を言うが、進藤は「最近のマスコミは出る杭の過去をあれこれ掘り出し、めったうちにします」と彼に忠告する。

 一見、進藤の言葉は「報道する」側の意見のように思えるが、彼の過去を鑑みるに「報道される」側の意見だとしてもおかしくはない。なぜなら、進藤の人生には飛び抜けた杭と傷をつけようと思えばつけられる過去が詰まっているからだ。

 彼が国定会長の手によって公共放送から引き抜かれるに至った経緯など、いまだに進藤のキャリアは詳しく描かれていない。元々は有名な記者であり、警察の上層部とも懇意にしていることが明かされた国定会長。民放テレビ局であるJBNがひた隠しにする真実もまた、忖度や癒着の成れの果てに起こったことなのかもしれない。

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