長濱ねるの放つ存在感

『いつか、ヒーロー』第4話©ABCテレビ
『いつか、ヒーロー』第4話©ABCテレビ

 ゆかりを演じる長濱ねるはけやき坂46および欅坂46の元メンバーである。グループ在籍中は清楚で可憐なアイドルとして、多くのファンが彼女のとりことなっていた。

 グループ卒業後は俳優として数々の話題作に出演し、作品に華を添えている。2022年の秋に放送がスタートした連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)ではポジティブで、たくましくもあるさくらを好演した。彼女の笑顔に元気をもらった視聴者は多いはずだ。

 また、昨年放送された『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日本テレビ系、2024)では四姉妹の三女・衿を演じた。本作の原案ではベスにあたる役である。俳優を夢見ながらも今を一生懸命に生きる衿であるが、彼女が頑張る姿に共感したり、鼓舞した視聴者は多いと思う。

 そして、本作でも長濱は存在感を放っており、彼女がいるからこそ、本作が描く厳しい現代日本から受ける衝撃が和らげられているように感じる。長濱のふんわりとした雰囲気が作品を優しく包み込んでいる。

 また、長濱の表現力は作品に深みを出している。ゆかりの空虚な気持ちも、心の寂しさも台詞だけではなく、表情で語っており、台詞がないシーンにおいても切なさを感じることがある。その一方で、誠司や仲間たちと問題に立ち向かうときは力強く、たくましく、彼女の存在が安心感を視聴者に与えてくれる。

【著者プロフィール:西田梨紗】

アメリカ文学を研究。文学研究をきっかけに、連ドラや大河ドラマの考察記事を執筆している。社会派ドラマの考察が得意。物心ついた頃から天海祐希さんと黒木瞳さんのファン。

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