加速していくストーリー展開
第7話にして介護という問題を取り上げ、ドラマ全体の大きなテーマである主婦や家事、子育てから若干目線が変わったように思う。ただ、ドラマを通して伝えたいことは変わらないのではないか。
辛いときには助けを求めればいい。
日常の気軽な問題から、今回のようなディープなものまで、声を上げれば手を差し伸べてくれる人はきっといるはず。世の中全体が個人主義的な流れになって久しいが、困っている人が「助けて」と伝えれば、救われることもあるというメッセージがドラマからは感じられる。気づいていないだけで案外世の中は優しさにあふれており、身の回りにも私たちにとっての詩穂はいるのかもしれない。
やはり温かなメッセージが強調された第7話は重要な回だった。ここからドラマはさらに転調し、加速していきそうな気配を見せる。
礼子は夫の鹿児島への転勤に伴い、仕事を辞めて専業主婦になることを決心。一方で、中谷(ディーン・フジオカ)は妻・樹里(島袋寛子)の不倫を疑っており、家庭内で一悶着ありそうだ。
そして、肝心の詩穂にも「あなたのような専業主婦はお荷物です」と書かれていた、差出人不明の手紙が引き続き届いている。犯人はシングルマザーの白山はるか(織田梨沙)で間違いないだろうが、依然として正体は不明のままだ。
詩穂の優しさは自分と周囲の人間を最後まで救うことができるのか。引き続き目が離せない。
【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
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