美しい伏線回収に唸る!
この物語には、ひとつ大きな謎が残っていた。それは、なぜ湯浅が真鶴に筋弛緩剤を打とうとしたか、ということだ。こちらに関しても、物語後半で明らかとなった。鷹央は言う。
「湯浅は姉ちゃんを殺そうとしたんじゃない。救おうとしたんだ」。
完全な密室で自ら気管切開をしたが失敗。運悪く、真鶴のそばにメスを落としてしまった。
このままだと真鶴が疑われてしまう…と思った湯浅は、彼女に筋弛緩剤を打とうとした。
そうすれば、真鶴は動けないし、疑われることもなくなる。筋弛緩剤は十分な量を投与しなければ、呼吸停止することがないのだ。鷹央は続ける。
「突然、死の危機に瀕した人間が生存本能以上の行動をとれるとしたら、2つ。1つ、大切な人を守ろうとする。2つ、自分を襲ったものに反撃をする。私は人の気持ちが分からない。ただ、論理的に考えて、湯浅が姉ちゃんに反撃する理由がない。ただし、大切なものを守ろうとする理由なら存在する」
湯浅は、かつて、自ら命を絶とうとした自分を救ってくれた真鶴を守りたかったのだ。
この他にもさまざまな謎や伏線、ピンチがあったものの、すべて回収。医療知識が必要なトリックではあったが、視聴者にも分かりやすく、腑に落ちる内容だった。特に今回は謎はもちろん、台詞の伏線回収にも魅了された回だった。
現在、同ドラマは第4話まで放送中。ドラマオリジナルの要素も含まれているようだが、視聴者のなかには、知念実希人が生み出した原作小説に興味を持った人が多く、SNSでも小説を購入したい、もしくは小説を買ったという書き込みも増えている。それほど、橋本扮する鷹央たちのキャラクターや、物語の展開に心を奪われたのだろう。