“自分が本当に食べたいもの”を作って食べられる贅沢

『しあわせは食べて寝て待て』第7話 ©NHK
『しあわせは食べて寝て待て』第7話 ©NHK

 また、ウズラさんは、シングルマザーで育ててきた子どもたちが巣立ち、現在はひとり暮らしをしている。“ひとり”というと、孤独だとか、寂しくないの? などと思われることもある。

 わたしも、ウズラさんのことを、「子ども中心の生活だったのに、急にそれがなくなったら寂しくないのかなぁ」なんて思っていた。しかし、ウズラさんは「24時間を自分のために使える喜び」を噛み締めながら生きているようだ。

 きっと、子どもがいた頃は、とびうおが半額で売っていたからといって、「これで何を作ろうかしら…」なんてまったり考える時間もなかったのだろう。また、魚のいい部分は子どもに、尻尾の方は自分に…という生活をしてきたウズラさんにとっては、“自分が本当に食べたいもの”を作って食べられること自体、贅沢に感じているのだと思う。

 人それぞれ、幸せの価値観は異なる。もちろん、すべての幸せを手に入れることはできないし、選んだ道それぞれで異なる地獄は待っている。そんななかで、絶対に手にしていたいものって、なんだろう。

 どうせ、人間はないものねだりをしてしまう生き物だ。だからこそ、ウズラさんのように幸せの指針をしっかり持てるようになりたい。『しあわせは食べて寝て待て』第7話を通して、そんなことを考えさせられた。
 

【著者プロフィール:菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

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