大河ドラマ『べらぼう』第18話考察。「歌麿」のエピソードはどこまで史実? 染谷将太の芝居に幼少期の「唐丸」が見えたワケ【ネタバレ】
text by 苫とり子
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第18話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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異例の注意喚起が表示された『べらぼう』第18回
冒頭のテロップに「番組の一部に性に関する表現があります」という異例の注意喚起が表示された『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第18回。性に“おおらか”だった時代背景をコミカルに描きつつも、その犠牲となった者の苦しみと葛藤を丁寧に掬い上げた、脚本家・森下佳子の抜群なバランス感覚が光る回だった。
朋誠堂喜三二(尾美としのり)に、新作の青本の執筆を依頼する蔦重(横浜流星)。「できれば10冊」というムチャブリを喜三二は突っぱねるが、蔦重は“居続け”を条件に承諾を得る。居続けとは女郎屋に連泊することで、普段は限られた上客にしか許されない特別なサービスだった。
さらには、一作書き上げる毎に女郎屋を替えられるというおまけ付きで、蔦重は喜三二の意欲を掻き立てる。まるで、原稿を完成させるまで作家を宿に閉じ込めるような鬼編集長ぶりが板についてきた。
そんな蔦重にすっかり乗せられ、しばらくは上の筆も下の筆も振るっていた喜三二。だが、そのせいで精魂尽き果ててしまったのか。“腎虚”、今でいうEDになってしまった喜三二は睡眠薬を処方され、松の井(久保田紗友)に添い寝してもらっていたところ、突如、下の筆が大蛇となって暴れ出す。
悲鳴を聞いて駆けつけた医者は「この方の類いまれなる好色の気が かような化け物を作った」と説明。すると、松葉屋の女将・いね(水野美紀)が「私がやるよ!」と名乗り出て、「やめてくれ〜!」と叫ぶ喜三二の大蛇を断ち切った。