唐丸(染谷将太)の過酷すぎる生い立ち

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第18話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第18話 ©NHK

 捨吉と名前を変え、絵師の北川豊章(加藤虎ノ介)のもとで“ゴーストライター”として様々な人気絵師の画風を真似た作品を描いていた唐丸。同時に陰間(男娼)として客を取っており、捨吉の長屋を訪れた蔦重はその悲惨な有様を目の当たりにして助け出そうとする。ところが、「俺ゃ好きでこうしてるんで」と唐丸に突っぱねられるのだ。

 その言葉が引っかかった蔦重の「体を売る暮らしが好きだって人はいますかね?」という問いに対するいねの台詞が唐丸の心理を明確に言い当てていた。いねは「いないとは言い切れないけど…」と前置きした上で、「たま〜にいるのは罰を受けたい子だね」と言う。

 7歳の頃から母親に無理やり客を取らされていた唐丸。望まない性行為を強いられた人の中には自称行為として性逸脱行動に出たり、性産業に従事したりするケースがあることはよく知られている。なおかつ、唐丸には明和の大火で建物の下敷きになった母親を見捨て、母親のヒモだったヤス=向こう傷の男(高木勝也)を追い詰められて殺害した罪悪感もあった。

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