桐谷健太の力強い演技の魅力

『いつか、ヒーロー』第6話©ABCテレビ
『いつか、ヒーロー』第6話©ABCテレビ

 本作の主人公・誠司を演じているのは桐谷健太だ。30代後半から50代後半までの幅広い年齢層を演じている。また、教え子たちの前での“誠ちゃん”としての“赤山”誠司と、“ハゲタカ”としての“黒木”誠司を巧みに演じ分けている。

 桐谷は誠司の生命力や気迫を体現し、心身のたくましさも、教え子に対する“オレが守るぞ”という責任感も見事に表現している。彼の力強い眼差し、他人のために流す涙、無鉄砲とも思える行動からは、生きるということはエネルギーをこれほどまでに放つことなのかと思った。

 桐谷は2002年にテレビドラマ『九龍で会いましょう』(テレビ朝日系)のケン役で俳優デビューを果たし、これまで数多くの作品に出演してきたが、中でも『ケイジとケンジ〜所轄と地検の24時〜』(テレビ朝日系、2020)での主演が記憶に残っている。

 桐谷が演じた豪太は声が大きく、何かあると突っ走ってしまう難点はあるけれど、その他人思いの性格は『いつか、ヒーロー』の誠司と重なるところもある。おおらかな雰囲気を持つ桐谷には正義感の強い熱血漢がハマり役だ。

【著者プロフィール:西田梨紗】

アメリカ文学を研究。文学研究をきっかけに、連ドラや大河ドラマの考察記事を執筆している。社会派ドラマの考察が得意。物心ついた頃から天海祐希さんと黒木瞳さんのファン。

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