宇佐美(内野聖陽)が静かだったワケ
思えば今回の宇佐美はいやに静かだった。学生たちを導く存在として“下手な演技”を見せていたが、他の教官と比較しても直接声を掛けることは少なかったように思う。しかし、そのぶんだけ宇佐美はじっと腕を組んで彼らを見定めていたようだ。
彼の視線は全員に行き届き、当然藤木の状態にも気づいていた。一度は壁に当たったものの、水中での訓練を乗り越えていた藤木。しかし、やはり男子とのフィジカル面での差は小さくないように見受けられた。
実習中、より負担がかかる役割は他の学生が担っていたうえで、終盤には自力で歩くことができなくなり、沢井仁(神尾楓珠)に担がれる一幕もあった。これらは一人前のPJになるためには十分ではないと判断されてしまっても致し方ないのだろう。
その判断の厳しさは人を救うという仕事において当たり前のことと頭では理解できるが、宇佐美なら…と思う気持ちもまだ拭い去ることはできない。誰よりも学生たちのことを信じ、思ってきた彼であれば、救いの手を差し伸べてくれるはず。そんな淡い思いを抱えているのは視聴者の総意ではないだろうか。
次週の第5話も引き続き舞台は山中。戦力外通告を告げられた藤木はもちろん、ケガをした白河智樹(前田拳太郎)や体調を崩した東海林はどう立ち直り進んでいくのか。その姿から目が離せない。
【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
【関連記事】
・【写真】これはもうドラマを超越している…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『PJ ~航空救難団~』劇中カット一覧
・『PJ ~航空救難団~』第3話考察&感想。内野聖陽の暑苦しさが魅力…厳しい指導が「パワハラ」に映らないワケ
・『PJ ~航空救難団~』第2話考察&感想。石井杏奈の演技が凄まじい…ドキュメンタリーさながらの迫力の秘訣は?
【了】