アクションだけに頼らない演出のすごさ

『イグナイト –法の無法者-』第5話©TBS
『イグナイト –法の無法者-』第5話©TBS

 ドラマの演出面に言及すると、国税調査官との心理戦はもちろん、詐欺の立証に必要な“故意”の言質を取るための駆け引きの見せ方が見事だった。

 場面の時系列を入れ替えて構成しているので、伊野尾の暗躍が最後まで伏せられており、視聴者はよりいっそう桐石側の完勝っぷりを実感する。大掛かりなアクションシーンだけに頼らない。制作陣の確固たる意思が感じられる回だった。

 しかし、最後の最後に、このドラマが始まって以来のピンチがピース法律事務所に訪れる。これまで見過ごされてきた宇崎の大暴れが激写され、週刊誌にリークされてしまったのだ。珍しく間宮のアクションシーンがなかったので、観ている側も油断していた。

 さらに、事務所を去った高井戸は千賀の所属するスリースター法律事務所へ移籍する。ふたつの事象に因果関係が存在するのは明白。事務所を去る前に、父親の会社と思われる高井戸工業の訴状を見つめる彼の思いつめた表情を信じたいところだが…。

 宇崎にとっても、ピース法律事務所にとっても、大きな転機を迎えた第5話。ドラマの後半戦に向けて、戦況は少しずつ動き始めている。

【著者プロフィール:ばやし】

ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。

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