北川景子の美しさと狂気
―――本作の魅力は、なんといっても紘海役の北川景子さんの迫真の演技ですよね。今回、北川さんをキャスティングされた理由を教えてください。
水野「私が元々北川さんのファンというのが一番ですね。加えて、今回の作品は『母性』がテーマの作品なので、キャスティングにも説得力がなければならない。そういった意味で、きちんと母親をやっているのが一視聴者から見て感じられる北川さんにお声がけしました」
三方「これまでの北川景子さんの連ドラ主人公と言えば、キラキラしたヒロインやバリバリ働くキャリアウーマンといった役のイメージが強かったので、そうではない北川さんを地上波連ドラで毎週見られたいいな、という思いを込めて、お願いしました。実際、現場では毎回想像を上回る演技をされていて、北川さん以外はあり得なかったと思っています」
―――ちなみに、北川さん以外のキャストの方は想定されていたのでしょうか。
水野「全く想定していませんでした。北川さんご自身も、脚本を読んで気に入ってくださった様子でした」
―――他メディアのインタビューで、演出を担当された松木創さんは、北川さんのお芝居を見て、撮影の方針を大きく転換されたとありました。お二人が特に圧倒されたシーンを教えてください。
水野「圧倒されるシーンばかりですが、特に印象に残っているのは、第1話の灯ちゃんの死の直後に園児を抱きしめて泣くシーンと、誘拐してきた萌子ちゃんの首を絞めようとするけどできなくて謝るシーンですかね。このシーンで、北川さんが本気で役に臨んでいるんだと悟りました」
三方「あと、スタッフ同士でよく言っていたのが、アップの北川さんの凄みですね。美しいのはもちろんのこと、どのカットにも狂気が宿っているんです。
松木さんは、『中越紘海のドキュメンタリーだ。それを壊さないように記録していくのが我々の仕事だ』とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思いました」