キャラクターの多面性を炙り出す珠玉の脚本
―――途中まで台本を読ませていただきましたが、早く続きを読みたい、早くこの映像を見たいと思うくらいパワーのある台本だと思いました。水野さんは、脚本の池田奈津子さんとはドラマ『自転しながら公転する』(読売テレビ・日本テレビ系、2023)でもご一緒されてましたね。
水野「はい。池田さんはとても良い方で、こちらの意見をとても尊重してくださるんです。打ち合わせでは毎回、池田さんが事前に私たちの要望をもとに面白いアイディアを考えてくれていたので、お互いの意見を否定するのではなく、とても建設的な打ち合わせができました」
三方「通常、ドラマや映画の台本で、全員のアイディアが必ずしも反映されることはないと思うのですが、今回の脚本はほとんど全員の意向が反映されていましたよね」
水野「そうですね。しかも、みんなの意見をただ汲み取って反映するのではなく、しっかり破綻なくまとめてくれていたので、本当にプロだな、と」
―――打ち合わせの中で決まった設定はありますか。
水野「一番大きな『発明』は、事故に疑念を抱く週刊誌記者の東砂羽(仁村紗和)ですね。企画の段階でラストは決まっていたんですが、砂羽の登場によって物語がよりスリリングになったと思います」
―――確かに砂羽は、当初は得体の知れなさがあったものの、徐々に人間味が感じられる「多面的な」キャラクターになってきましたよね。ちなみに、世間の反響や現場での演技を通して脚本の内容を変えることもあるのでしょうか。
水野「台本はクランクイン前に完成している状態なのですが、細かい変更はありますね。特に、『ちょっとセリフを変えたい』というキャストの方からの相談やロケ場所の変更には、即座に対応できるような体制を整えています」