歌麿(染谷将太)がナイスアイディア

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第19話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第19話 ©NHK

 本づくりは、祭りに似ている。大文字屋(伊藤淳史)と若木屋(本宮泰風)を仲直りさせ、四民の内と外の垣根を越えさせた祭りと同等のパワーが本づくりにはある。

 朋誠堂喜三二(尾美としのり)、北尾政演(古川雄大)らチーム蔦重、吉原組のりつ(安達祐実)やきく(かたせ梨乃)も加わり、真新しい企画をみんなでわいわい考える様はまさに祭りだ。活気に満ち溢れていて、見ているこちらまで胸が躍る。

 ただ、これは新しい!と思ったものは、すでに誰かが考えていることがほとんど。

 全員のアイデアが枯渇してきた頃、唐丸改め歌麿(染谷将太)が何気なく発した「いっそ絵から考えるのは?」という言葉がきっかけとなり、「百年先の髷を見てみたい」「じゃあ100年先の江戸をテーマにするのはどうか」と今でいうSF小説の構想が生まれた。

 未来を舞台にした作品はもしかしたらすでに存在するかもしれない。けれど一人ひとり、想像する未来はきっと異なる。

「他の誰でもねえ、春町先生が考えた奇天烈で、けど膝打つような、そんな100年先の江戸を見て見てえんでさ」という蔦重の言葉は、鶴屋に作風を否定され、すっかり弱っていた春町の心を奮い立たせた。かくして鶴屋から春町を引き抜くことに成功した蔦重は鱗形屋と喜びを分かち合う。

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