『波うららかに、めおと日和』が絶好調なワケ。“俺様系男子”の時代は終わった? 本田響矢“瀧昌”に沼る理由とは? 徹底考察

text by 於ありさ

ドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)が好評放送中。昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚からスタートする、歯がゆくも愛らしい、ハートフル・昭和新婚ラブコメだ。今回は、本作で“うぶ”な夫・瀧昌を演じる本田響矢の芝居を中心に、ドラマの魅力を紐解く。(文・於ありさ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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最後に勝つのは、優しくてうぶな人?

『波うららかに、めおと日和』第2話 ©フジテレビ
『波うららかに、めおと日和』第2話 ©フジテレビ

 今期の放送の木曜ドラマ『波うららかに、めおと日和』(以下『めおと日和』)が絶好調だ。その理由の1つに挙げられるのが本田響矢演じる江端瀧昌というキャラクターがあまりにも魅力的であること。

 SNS上では瀧昌の一挙一動に沸き立つ声が溢れており、筆者はそれを見ると「なんだ、最後に勝つのは優しくて、うぶな人なんじゃん?」とつい言いたくなる。

 というのも、2010年代を超えたあたりから、いわゆる“俺様系男子”がラブコメでは主流だった。強気で自信満々、財力・ルックス・頭脳の三拍子が揃った“ハイスペ王子”がヒロインに一方的に迫る。舞台挨拶などの公の場で、キャストが「俺のものになれよ」「俺のことが好きなんだろ?」などと発すればファンが「キャ〜!」と喚き立つ。そんな光景を何度も見てきた。

 だが、『めおと日和』の瀧昌は、そうした“俺様系”とは全くもって違うタイプ。もし、妻・なつ美(芳根京子)から俺様っぽいセリフを無邪気にリクエストされたとしても、「な、何を言っているんですか!」と狼狽える姿が目に浮かぶ。瀧昌はそんなうぶなキャラクターなのだ。

 正直なところ、ドラマ放送前は、筆者も、瀧昌を例の“ハイスペ王子枠”だと勝手に想像していた。キリッとした眼差しに、帝国海軍の中尉という申し分のない肩書。生真面目で無口かつ無愛想に見える表情。

「あ、これは亭主関白気質な瀧昌を、なつ美が一方的に思い慕うドラマなんだろう」てっきり、そんなことを思っていた。

 しかし、第1話中盤あたりで、そうではないことに気づく。たしかに生真面目で無口で無愛想である。だが、実際の瀧昌は、ただ感情を表に出すのが得意でないだけで、めちゃくちゃ優しい。そしてとにかく“うぶ”なのだ。

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