厳しい訓練を通して得たもの

『PJ ~航空救難団~』第5話 ©テレビ朝日
『PJ ~航空救難団~』第5話 ©テレビ朝日

 一夜明け、藤木は一人で山道を散策する。朝日を浴びながら、「サンサン太陽サンシャイン」を思い出し、仲間たちとの厳しい訓練を回顧していたはずだ。その顔には涙こそあったものの、何かを諦めた表情には見えない。きっとこれまでを振り返り、宇佐美や仲間たちとの存在もあって、もう一度戦いへ臨む決意を固めていたのではないか。

 しかし、そんな彼女を悲劇が襲う。山道で滑落し、負傷してしまう。教官たちと仲間たちとの捜索により一命を取り留めるが、両腕を負傷して全治2週間と診断される。上からは「遅れは取り戻せる」との判断だったが、彼女は自ら辞退を申し出るのだった。

 宇佐美や皆の前で直接「辞退させてください」と涙ながらに伝える様子に心の底から「そんなこと言うなよ」と声をかけたくなる。これだけ頑張ってきたじゃないか、遅れはまだ取り戻せるよ、全員で卒業すると約束したじゃないか、と。

 だが、熱い涙を流していた周囲の誰もが止めることなく「藤木の意思を尊重した」のは彼女がただ失意の中で決断したわけではないとわかっているからだろう。藤木は宇佐美との出会いを通して救うことの意味を知り、新しい自分と巡り合うことができた。PJへの道は途絶えたとしても、彼女の前には明るい道が続いているという信頼の証でもあるのかもしれない。

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