嘘をついたままじゃ幸せになれない
昌枝はといえば、騒動のさなかに年下彼氏と焼き肉を食べに行っていたことが明るみになり、世間からさらなるバッシングにさらされていた。「いい歳して恋愛をするな」「おばはんのくせに原色を着るな」…。ラジオも打ち切りが決定してしまう。
最終回は総集編になることが決定したが、それを覆してくれたのは真田だった。今回は自身も被害を受けた側なのに、自ら代理店に赴き頭を下げ、代替案を提案し、昌枝の放送で最後を飾れるようにしてくれたのだ。
しかし、当の昌枝は失踪。最終回の放送が始まっても姿を現さず、4部の面々が代わる代わるブースに入り、その場を繋いでいく。ラジオとしては聞くに堪えないものだったかもしれないが、追い詰められながらもなんとかしようとする姿には熱いものがこみ上げてきた。
特に、騒動後に何かと昌枝を気遣っていた和田浩二(橋本じゅん)の覚悟を決めた表情にはぐっときた。
放送残り5分というところで、ついに昌枝が登場。彼女はいつもの通り軽快にタイトルコールをし、静かなトーンでいまの気持ちを話しはじめる。
「いま出て行ったら、大事なリスナーに嘘をついてまう」「世間に合わせて嘘をついたら楽だけど、嘘をついたままじゃ幸せにはなれない」。そして、「嘘はつかないし、みんなから褒められたい、そういう人間剥き出しな生き方してこうかなって思ってます」と、清々しく語った。
自分らしくあることを肯定してくれる一方で、なにか問題を起こしたときに、昌枝でいえば「原色の派手な服を着る」という“人からスレたこと”がバッシングの対象になってしまう時代だ。だからと言って自分を隠すような嘘をつけば、バレたときに大きな反感を買う恐れがある。
そんな状況で、表舞台に立つことを選んだ人たちのひとつの誠実さの形を、濱田マリ×橋本じゅんによる笑いとシリアスがいい具合に配合されたいぶし銀の芝居で堪能させてもらった。