「松田元太の才能に惚れ込んでいる」
―――主演を務められる松田元太さんのお芝居についてお聞かせください。撮影を通して見られた変化はありましたか。
「脚本作りに入る前、松田さんと直接お話する機会があり、人見廉そのものだとスタッフ一同痛感して、“完全当て書き”にしようということになりました。松田さんの持って生まれた才能に我々は惚れ込んでいます。人見廉イコール松田さんそのものという印象はありますが、もちろん、松田さんなりの計算はされています。ただ明るく暴れているだけでは成立しない役ですから。
一度、あるシーンでちょっとおとなし過ぎる?と感じる演技をされていたので、撮影後、聞いてみたところ、『逆算でこのシーンはちょっと抑えるというか、真面目にしておくのがいいと思ったんです』と。編集で繋げてみると、それで正解だったんですよね。連ドラはシーン順に撮影できないことが多いため、特にその組み立てが必須になる主演の方は本当に大変なんだろうと想像できます。人見廉というキャラクターを魅力的にしようと奮闘している松田さんの様には、日々圧倒されています」
―――ほかのメインキャストの方はどういった基準で起用されたのでしょうか。
「連ドラのキャスティングに際して、主人公はもちろん重要ですが、メインどころのキャストバランスにはこだわり続けてきました。例えば、人事部長の平田は事なかれ主義で、上にも下にも挟まれたちょっと頼りないキャラクターです。それとは真逆のイメージを持つ鈴木保奈美さんに演じていただけたらおもしろくなりそうということでオファーさせていただきました。
出世のことしか考えていない、仕事もロクにしないお調子者の須永役は新納慎也さんに。この役は、フジテレビドラマにとって新鮮な感じのする方に演じていただきたいなという思いがあり、多彩なキャラクターの使い分けに長けている新納さんが候補に挙がりました」
―――ゲスト出演の中でも1話のラップは田中洸希さんが、4話にはドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさんが出演されています。プロでやられている方が出演されることでリアリティが増しているように思うのですが、やはりそういったことを意識されたのでしょうか。
「1話のラップは経験者であることがマストだと考えてました。あれは訓練してできるレベルではありません。カラオケ大会でのラップバトルは第1話最大の見せ場ですので、ラップができるのは当たり前、お芝居にも長け、さらに新鮮なイメージを持つ方ということで田中さんへオファーさせていただきました。本当にあのシーンは田中さんに助けられたと思ってます。
4話のドラァグクイーン役は、ドリアンさんが出演された映画『ストレンジ』の舞台挨拶にうかがったことがきっかけです。その映画でドリアンさんは夢見るドラァグクイーン役を繊細に演じられていました。舞台挨拶ではドラァグクイーン姿で登壇され、誰よりも盛り上げていらっしゃるそのお人柄がとても印象的でした」