「くだらない」は最高の褒め言葉

『人事の人見』第5話 ©フジテレビ
『人事の人見』第5話 ©フジテレビ

―――新卒採用、パワハラ、女性活躍など、各話のトピックの選び方と人見廉らしく、時代に合った納得感のあるゴールに持っていくというのは難しそうだと思うのですが、ストーリー作成においてはどういった苦労がありますか?

「“今、日本でどんなことが話題になっているか”を知っておくことは必須だと思っており、日々テレビやネットのニュースなどは意識してチェックしています。ハラスメントには数えきれないほどの種類が存在していることをあらためて痛感しましたし、子育てしている女性社員が活躍しづらいキャリアにさせられたり、責任のない仕事しかさせてもらえなかったりする状況をマミートラックと表現し、これがまだ一般的にはまだ浸透していないワードであることもわかりました。リサーチ結果も踏まえ、制作メンバー各々がネタを持ち寄って決めています。

ハラスメント、退職代行、サービス残業、副業、マミートラック、早期退職など、最初に10個ぐらい暫定でテーマを並べ、作っていく中で扱う順番を決めてきました。そして、それぞれを人見がどうやって解決するのか、これを考えるのが容易ではありませんでした。ありがちな解決策ではなく、人見が突拍子もないこと、奇想天外なことを思いつくのがマストであり、それを捻り出すのが大変であり楽しくもありました。

1話の退職代行を使って辞めようとする若手とパワハラ上司とのクライマックスおよび和解をラップバトルでやり遂げるというアイデアは、脚本家・冨坂さんの偉大な発明だと思います。2話は人見がピエロのお面をかぶってみんなを監禁状態にするとか…ありえない展開なんですが、理屈とかではなく、最後はなんだかんだ解決してしまうみたいな。

冨坂さんを中心に毎回毎回アイデアをひねり出し続け、ようやく最終話まで見えてきました。人見が毎回『めっちゃいいこと思いついたんですけども』と言っていますが、その思いつきを思いつくのは本当に大変でしたね」

―――ここまでで印象に残っている視聴者からの反響はありますか?

「松田さん演じる人見廉のキャラクターが魅力的だというご意見はかなり多いです。これこそが我々の狙いだったので、シンプルに嬉しいですよね。あとは5話の出世のことしか考えていない須永の意外な一面をドタバタ劇でやりきるのは、個人的には5話までの中で一番好きな回なんですよ。ああいう、笑って泣けるワンシチュエーションドタバタ劇こそ『人事の人見』でやってみたかったんです。人事部長じゃない須永が「俺は人事部長だ」という嘘をつき、バレて、さらに悪あがきする。それに人事部の面々が付き合う。ただのドタバタ劇でとどまることなく「家族」にまつわるほろっとしたオチがあるという意味でもお気に入りの回です。

今回、どこか「くだらなさ」があるということを意識して作ってきました。なので、「くだらないな~」は最高の褒め言葉だと思っています。かつ、「でも笑って泣けるんだよね」と言われるのが一番うれしいので、実際にそういうご意見が多かったのは、やはり5話でしたかね」

―――最後に、今後の見どころについて教えてください。

「今まさに10、11話の脚本作りの佳境です。里井常務の知られざる過去と背負った思い、昔気質の小笠原社長の意外な背景、その2人の衝突、10話ではこれまで以上に人見廉が想定外の動きを見せ、里井常務と社長の間に入り、衝撃のラストシーンを迎えます。最終話では、日の出鉛筆の社長を社員全員の投票で決める“社長選挙”をやる予定です。全社員の投票で社長が決まる。新人からベテランまで全社員が社長候補。日本の会社ではなかなかないじゃないですか。設定だけでもワクワクします。ラストどう決着するのか?そして、人見廉の行く末はいかに?ぜひ最終回までお楽しみください」

【著者プロフィール:ふくだりょうこ】

大阪生まれ関東育ちのライター。
大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。
ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。

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