人によって基準があいまいな「超えてはいけない一線」
今回は藤井親子だけでなく、華(永野芽郁)と両親の関係性にもスポットがあたる。なんと深沢のもとで手伝いを行っていた医師は、華の父親でもある川島圭介(山中崇)だったのだ。
娘の沙羅(鈴木礼彩)の海外での臓器移植を妻から嘆願されとき、「人には超えてはいけない一線がある」と圭介は述べていたが、この“一線”が登場人物たちによってはどこまでもあいまいで、ときには踏み越えているような印象さえ受ける。
特に華は、沙羅の一件が影響しているのか、感情と倫理の間で大きな矛盾を抱えていた。父親の圭介には自首を進めておきながら、藤井親子の違法な臓器移植は見逃してほしいと進藤に要求しているが、それでは筋が通らないだろう。
そもそも違法な臓器移植のもとをたどった先にあるのは、臓器売買と搾取の構造だ。華がその事実を飲み込んで言葉を発しているとは、到底思えなかった。状況を冷静に俯瞰して、最良の選択肢を見つけようとする進藤の姿とは対照的で、目の前の命しか見えておらず、感情的な言動を繰り返す。
「報道」に携わる人間として、彼女がどれほど自身を省みることができるのか。同じような状況に陥ったとき、彼女が何を優先するのか。これからの華の成長も、このドラマの見どころのひとつとなりそうだ。