紘海(北川景子)の二人の娘をめぐる葛藤
物語の後半で描かれたのは、美海が一時行方不明になるエピソード。美海が帰ってこず、慌てて街中を探し回る紘海。「お母さんの働いてるスーパーが見てみたかった」という美海の言葉を思い出した紘海は、「スイッチバック」へ急ぐ。そこには、店舗の見回りをする旭もいた。
紘海の話を聞いた旭は、すぐに警察に行こうと提案する。萌子が失踪したときと同じ状況下。きっと、萌子のことを思い出しているだろうに、とてつもなく頼もしい旭がちょっぴり切ない。
美海が見つかったとわかったとき、旭は美海の無事を心の底から安堵していた。萌子の生存を信じていたり、梨々子(平祐奈)にお弁当を作ったり、毎日自分の店に立ち寄ったり。旭のいい面を見るたびに、実はいい人なのでは…?なんて心が揺らいでしまう。
美海がいなくなったことで紘海が感じた不安は、旭が長きにわたって抱えてきたものでもある。自分のことのように親身になってくれた旭をみて、罪悪感を抱いた表情を浮かべるものの、紘海が考えるのは娘のことだ。
美海を守るために旭と距離をおけば事故の真相は遠のき、灯(石原朱馬)を裏切ることになってしまう。紘海のなかには罪悪感以上に、二人の娘をめぐる葛藤があったのだと思う。