手を差し伸べる詩穂(多部未華子)の強さと優しさ

『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』第9話©TBS
『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』第9話©TBS

 一方で、詩穂は自身に脅迫状まがいの手紙を送っていた白山はるか(織田梨沙)と対峙する。彼女は自身の家庭環境から夫を作ることを拒否し、進んでシングルマザーへの道を選んだ。

 しかし、一人で子供を育てるというのは予想以上の苦労だったこともあり、専業主婦というある種旧時代的な生き方をしている詩穂に恨みをぶつけていたようだ。

 正直、今回に関して白山に同調することはかなり難しい。詩穂が専業主婦をやっていることで「被害を受けているんです」と漏らすが、そもそも自分が選んだ道でしょと思ってしまうし、そこから進んで詩穂へ脅迫状まで送るのはお門違いで、怒りの矛先には疑問符が浮かぶ。

 そんな彼女にも寄り添う詩穂はさすがだ。一人での家事と子供を持つ家事の違いを説明し、「(子供を)死なせないための家事になる」という言葉はあまりに重い。

 そんな重大な課題と常に向き合っていることは親にとっては当たり前だが、そうでない人にとってはずんと沈むような衝撃を与える。きっと詩穂も一度は穴に落ちかけた経験を持つからこそ、どんな人にも手を差し伸べられるのだろう。

 同じ気持ちを抱えていると知った仲間を持つ彼女は誰よりも優しく、強い。

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