実に痛快!西村屋(西村まさ彦)への意趣返し

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第20話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第20話 ©NHK

 この流れに乗るため、蔦重はまず歌麿(染谷将太)の模写技術を使って「雛形若菜」ならぬ「雛形若葉」を制作する。「雛形若菜」は西村屋の看板商品である錦絵シリーズで、もともとは礒田湖龍斎(鉄拳)が描いていたが、途中から鳥居清長がそのあとを引き継いだ。

 ところが、清長は人気絵師ゆえに制作費がかさむ分、入銀も高くなる。そこに内容がほぼ同じで、半分の入銀で済むとなれば、そちらに出資者が流れるのは至極当然のこと。

 さらに「雛形若菜」の方にすっかり気を取られていた西村屋は、鶴屋から大事にしろと言われていた細見の改訂を怠る。蔦重に頼まれてりつ(安達祐実)が流した嘘の情報にも気づけず、細見を出せなくなり、地本問屋たちの反発を受けて蔦重との取引を認めざるを得なくなった。

 少々ずる賢いやり方だが、そもそも「雛形若菜」蔦重が企画したもの。それを西村屋が鱗形屋(片岡愛之助)と結託して奪ったのだから、少しばかり手荒な方法を取っても言い訳が立つというわけだ。蔦重が抗議にやってきた西村屋に「汚えやり方もありだって教えてくれたのは西村屋さんですから」と言い返すシーンは実に痛快だった。

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