涙なしには見られなかった…『続・続・最後から二番目の恋』が年齢問わず愛されるワケ。第8話考察&感想レビュー【ネタバレ】
小泉今日子&中井貴一がW主演のドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が現在放送中。古都・鎌倉が舞台のロマンチック&ホームコメディ。前作から11年を経て、相変わらずの二人の距離感で流れゆく人生を見つめる。今回は、第8話のレビューをお届け。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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真平(坂口憲二)の告白に涙…。
幼い頃、脳幹部に小さな腫瘍が見つかってから、人生を病気に支配されてきた真平(坂口憲二)。知美(佐津川愛美)と出会う前は、「いつ死ぬか分からないから」とひとりの女性を愛することもしなかったし、車が大好きなのに「運転中に何かあったら困る」と免許を取らず、家族に心配をかけないように家で働ける仕事を選択した。
そんな彼が、大きな病院でさまざまな検査をした結果、「影が消えている」「もう、命の心配をする必要はないだろう」と言われたのだという。シーズン1から真平を見てきた視聴者にとって、『続・続・最後から二番目の恋』第8話は、涙なしでは見られない回だった。
長倉家のメンバーと千明(小泉今日子)の前で、「病気、治りました! 卒業しました!」と宣言した真平。そこで、兄の和平(中井貴一)は、「治ったんじゃなく、治したんだよ。家族の愛が、病気に勝ったんだ」とまるで“金八先生”かのような言葉をかけた。
もちろん、愛があったって、病気に勝てないことはある。ただ、真平があの時、恐れずに自分の家族を持つ決意をしたことが、“現在”につながっているのは間違いないだろう。
「いつ死んでも大丈夫なように…」と生活をコントロールしてきた真平が、知美と結婚して家庭を持つ選択をしたことで、「少しでも長く生きたい」と思えるようになった。“愛”ってすごい!
“心”の不調もまた身体の一部
その一方で、えりな(白本彩奈)の想い人・優斗(西垣匠)は、心の病を抱えているようだ。しかし、「病気とかじゃないし、心が弱いだけ」と思っているらしい。
たしかに、身体の病気と比べて、心の病気は目に見えないからこそ「心の持ちようだ」と言われてしまうこともあるし、「なんでこんなに弱いんだろう…」と自分を追い込んでしまったりする。
そんな時、えりながかけた「それを、病気っていうんだと思うよ。自分では、どうにもできないことっていうか、心も身体の一部だから。優斗のせいじゃなくて、身体の問題」という言葉は、優斗にとって救いとなったのではないだろうか。
そして、「言っとくけど、わたしそういうので恋する気持ちとかなくなるような人間じゃないから。そういうの心配してるなら、怒るよ、まじで!」と言っていたのも、えりならしい。なんだか、かつての真平と知美を見ているような気持ちになった。
この三角関係をずっと見ていたい
大人の三角関係は、不思議だ。若者のようにバチバチしていなくて、ゆとりがある。だって、千明を奪い合う“ライバル”とも言える和平と成瀬(三浦友和)が、まるで“親友”かのように軽口を叩き合っているのだ。「これぞ、大人の余裕!」という感じ。
この日、千明の招集で、和平と成瀬が居酒屋にやって来た。「社内で年上のポジションばかりやっているから、たまには年下の女の子気分を味わいたい」と言う千明のことを、おもてなしする鎌倉男子たち。
普通なら、気まずくなってもおかしくないと思うが、和平と成瀬は「一応ね、三角関係なわけだからね(成瀬)」「そうですね。負けませんよ。先輩には(和平)」とおちゃらける。
また、成瀬が「あれ〜? 三角がこっちに傾いてきたかな〜?」と煽ると、和平が「昨日今日出てきたポッと出の男には、負けませんよ」とマウントを取り、余裕たっぷりに笑う。
「お姫さま気分を味わいたい」と言いながらも、「割り勘にしてくださいね。じゃないと、また誘いづらくなりますから」とお願いする千明も、“自立した女性”という感じでカッコ良い。この3人の飲み会、ずっと見ていられる!
『続・続・最後から二番目の恋』が与えてくれる希望
人生は、すべてがうまくいくわけじゃない。ドラマみたいな素敵な展開がみんなに起こるわけじゃないし、「こんなもんでしょ」と自分を納得させながら生きていかなきゃいけなかたりする。でも、そんな時に一緒に泣いてくれて、そのあとたっぷり笑わせてくれる人がいたら、わたしたちは強くなれるのかもしれない。
『続・続・最後から二番目の恋』の初回で、千明が「寂しくない大人なんていない。大人は、自分の時間が有限なことも、今から大きな素晴らしいことが起きないことも知っているから(中略)でも、こうも思うのだ。老後なのか、セカンドライフなのか分からないけど、それを一緒に笑ってネタにして、ともに生きる人がいれば、なんとか乗り切れるんじゃないか」と言っていたことがあった。
こんな世の中で、カッコ悪くても、泥臭くても、どうにかして希望を見つけながら生きている彼女たちを見ていると、「年齢を重ねるのも悪くないのかな」と思えてくる。そして、「頑張って生きていくんだぞ!」と背中を押してもらっているような気持ちになるのだ。本作が年齢を問わず、多くの層から愛されているのは、そういう希望をわたしたちに届けてくれるからかもしれない。
【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
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