阿部亮平“玖村”が爆弾発言…「食品事故」についてもっとも可能性が高いのは?『あなたを奪ったその日から』第8話考察&感想【ネタバレ】
北川景子主演のドラマ『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系)が現在放送中だ。本作は、食品事故で子どもを失った母親が、事故を起こした男の娘を誘拐するサスペンスドラマ。復讐と親子愛の壮大なストーリーだ。今回は、第8話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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守りたかったのは美海(一色香澄)の未来か、私の過去か
望月(筒井道隆)が紘海(北川景子)と“不審な女”との共通点に気づき、美海(一色香澄)が紘海の“隠しごと”を察しつつあった前回。『あなたを奪ったその日から』第8話では、紘海の周りでさらにほころびが生まれ始め、運命の日が刻々と近づいていることを実感する。
近頃メイクを覚え、帰りが遅い美海が、駅員の柊(小林虎之介)と親しくなったことを知った紘海。実際には鉄道業界に興味のある美海のために仕事の話をしていただけだったが、美海側には少なからず“仲良くなりたい”という気持ちがあった。そんな美海の恋心を紘海が指摘したことで、二人は喧嘩になってしまう。
美海に正しさをぶつける紘海。そんな紘海に美海は「そういうお母さんは全部正しいの?」と投げかける。灯(石原朱馬)の写真や赤いリボン、臍の緒が入った木箱の中身を美海に問われても、もちろん紘海は何も言えない。「隠してるじゃん」「間違ってるのは私だけなの?」紘海の釈然としない態度に納得できない美海は、ついに家を出ていってしまう。
許すことも、許されることも、できないままで
一方、紘海に惹かれつつある様子を見せた旭(大森南朋)も、娘の梨々子(平祐奈)のことで悩みを抱えていた。梨々子はオーバードーズで入院することになったものの、誰にも会いたくないと旭との面会も拒絶している。
両家で生じた親子間の亀裂は、紘海と旭の距離を縮めることになった。ひょんなことから二人きりの残業となった日、紘海は旭の抱えきれない苦しみを聞いてしまうのだ。
旭が話したのは、灯が亡くなった食品事故のこと。「まだたったの3歳、これから始まるはずだった長い人生を僕が奪いました」と語る旭の表情からは、強い自責の念がにじみ出ている。
罪の意識に耐えきれなくなっていた旭だが、子どもを奪ってしまった本当の罪の重さを知ったのは萌子がいなくなってから。娘がいない現実の胸がえぐられるほどの苦しさ、毎朝目が覚めて娘がいない現実がまた始まると知ったときの恐ろしさ…。
すべては犯した罪から逃げた報いだと自分を責め、灯や灯の両親に対する懺悔を口にする旭。旭へ抱いていた憎しみが少しずつ薄れていることに気づいていた紘海は、旭の苦悩を知ったことで、萌子を奪った罪悪感に押しつぶされそうになってしまう。
旭から離れる決意をした紘海は、会社を退職することに。必死に引き留める旭に「あなたは本当の私を知らない」と放った紘海の表情には、もう最初の頃のような復讐心は感じられなかった──。
玖村(阿部亮平)が爆弾発言
砂羽(仁村紗和)と鷲尾(水澤紳吾)の関係も明らかになった。砂羽が執拗に食品事故について嗅ぎまわるのは、鷲尾の娘だから…。鷲尾は自分がエビを入れたことを明確に否定しているため、他の誰かが厨房に立っていたことになり、砂羽はその人物が旭ではないかと考えていた。
実際旭は「3歳の女の子の命を奪ったのは、僕らYUKIデリです」と、自身の責任であると発言しているが、誰が混入させてしまったのか、確信めいたことはいまだ語られていない。一方鷲尾は「俺たちが殺してしまった」とも話しており、誰か一人の責任ではない、もしくは、誰かを庇っているともとれる。
玖村(阿部亮平)にも動きがあった。思いがけず梨々子と食事をした際、葉山の別荘で撮ったという写真を見ることに。そこに映っていた紘海が、かつてはちどり保育園で自らの苦しみと恨みを打ち明けた女性であると思い出してしまうのだ。
紘海のことが心に引っかかった玖村は、その正体を探り始める。そして、保育士から紘海の事情を知ったであろう玖村は、「中越紘海は皆川灯ちゃんの母親です」と旭に告げてしまう。玖村は結城家を恨んでいるはずだが、警告のような行動をするのには梨々子への憎めない気持ちがあるからなのだろうか。
離れようとするほど、運命が近づく
また、旭から紘海が退職することを告げられた望月。「ひどく追い詰められているようだった」「切実な事情がある気がする」と話す旭の言葉から脳裏をよぎるのは、やはり“不審な女”と紘海の持つキーホルダーが同じであること…。
望月は、履歴書に書かれた紘海の住まいに訪れるつもりなのだろう。小さい頃の萌子をよく知っている望月のことだから、美海と鉢合わせてしまえばすべての点と点が線でつながってしまう可能性もある。
旭を悪人とはどうしても思えない紘海は、砂羽の取材協力も断り、完全に旭から離れようとする。しかし、離れようとすればするほど、運命の日が近づいてくるのが残酷だ。
紘海、旭、砂羽、玖村など…。誰もが大切な何かを奪われている。第9話では、望月が美海と出会い、灯の母として紘海が旭と顔を合わせる姿も。この物語の結末は、いったいどこへ向かうのだろうか。
【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
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