『天久鷹央の推理カルテ』最終話で怪演が光ったのは? ”鷹央”と”小鳥遊”の関係性がバディでこそ輝くワケ。考察&感想【ネタバレ】

text by 浜瀬将樹

橋本環奈が主演を務めるドラマ『天久鷹央の推理カルテ』(テレビ朝日系)。橋本演じる主人公・天久鷹央が、医学的な知見と診断能力を武器に、事件や現象を鮮やかに解決する本格医療ミステリーだ。今回は最終話のレビューをお届けする。(文・浜瀬将樹)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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天才医師に最大のピンチが訪れる!

ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』最終話©テレビ朝日
ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』最終話©テレビ朝日

 鷹央が医療過誤で訴えられた。天才医師である彼女が誤診をしたというのだ。原告は、鈴原桃花(奥菜恵)。鷹央に7歳の息子・宗一郎を診てもらったが、指示通りのことをしても、悪心や嘔吐などの症状が消えることはなく、たびたび意識障害、歩行障害が起きているという。

 早速、宗一郎が入院している病室に乗り込んだ鷹央。そこで、大量のパックジュースを見つけた。桃花が宗一郎に飲ませているこのパックジュースを調べれば、なにか分かるはず…と、すぐに鑑定に回した。

 この騒動も相まって、統括診断部縮小の危機が訪れる。原因を究明して訴えを取り下げてもらわないと、自分たちの居場所がなくなってしまう!最終決議のタイムリミットも迫るなか、ジュースには異常がなかったとの報告があった。

 その後、鷹央、小鳥遊優(三浦翔平)、鴻ノ池舞(畑芽育)らがどんなに調べても原因を突き止めることができなかった。絶体絶命のピンチとなるなか、あるヒントから、謎を解き明かす!

奥菜恵のクセがありすぎる走り方が衝撃!

ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』最終話©テレビ朝日
ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』最終話©テレビ朝日

 原因は、なんと桃花だった。桃花は「代理ミュンヒハウゼン症候群」を患っていた。「ミュンヒハウゼン症候群」とは、自分の体を傷つけたり、毒を服用したりして、周囲にあえて重篤な疾患を患っているように見せつける病気のこと。

「代理〜」は、自分の代理を使って同様の行為をすることで、桃花は宗一郎をターゲットにしていた。パックに細工をし、宗一郎を苦しめる原因を自ら作っていたのだ。

 桃花は、息子を懸命に看護することで、健気な自分を演出し、周囲の評価を上げようとした。つまり、“悲劇の母親”を演じるのが目的だった。

 今回、桃花を演じた奥菜の怪演が光った。パックを調べるとなった際、鷹央を全速力で追いかけ「もしもそのジュースに異常がなかったら、医療ミスだけじゃなくて、損害賠償でも訴えてやる!」、「それだけじゃないわよ。週刊誌に情報を流して、二度と医者として働けなくしてやるから!」と叫んだ。

 後半には、パックジュースを回収して、鷹央のもとに運ぼうとする小鳥遊たちを追いかけるシーンもあり、まるでパニックムービーのようだった。

 クセのある走り方や、鬼気迫る表情など、強烈なインパクトを与えた奥菜の演技について、SNSでは「怖い」「ヤバすぎる」といったコメントが多くあった。

 また、今回、奥菜が演じた桃花が、看護師として働く回想シーンでは『ウイングマン』や『I”s』などでおなじみの漫画家・桂正和先生が患者役として出演。エンドロールで気づく視聴者も多く、こちらも驚きの声が多々あった。

“バディ”だからこそ輝く鷹央(橋本環奈)と小鳥遊(三浦翔平)

ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』最終話©テレビ朝日
ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』最終話©テレビ朝日

 鷹央と小鳥遊のバディが、事件や騒動を解決していくのは、今作の魅力のひとつ。原作と同じく、天才医師・鷹央のそばには、いつも小鳥遊がいて、最終話まで彼女を懸命に支えてきた。

 ただ、ドラマの要素として、ふたりを恋愛関係に導く可能性もあった。一昔前であれば、原作の雰囲気を壊してでも、その手を使う作品も珍しくはなかったが、今回は、鷹央と小鳥遊の関係性が変わらないまま最終話を迎えた。

 特にふたりは「恋愛」よりも「信頼」で結ばれているような気がするし、なによりもバディとしての鷹央と小鳥遊を見続けたい視聴者が多いのではないか、とすら感じる。

 昨今のドラマは、バディものでも恋愛に発展させないことがほとんど。そもそも、原作へのリスペクト、視聴者や原作ファンの想いを汲むのであれば、なおさら、この設定を変えるなんて選択肢はないはず。

 SNSには、ふたりが安易に恋愛関係にならなかったことで、安堵する声もあった。バディだからこそ、ふたりは輝くのだ。

 ラストシーンで、原作にも描かれている「輸血パック」に関する事件に触れる一幕があった。何年かかってもいいので、またこのキャストで、このバディで、そして原作愛を感じるこのスタッフで『天久鷹央の推理カルテ』の続きが見たいものだ。

【著者プロフィール:浜瀬将樹】

1984年生まれ。フリーランスの編集・ライター。映画、ドラマ、バラエティー番組の会見取材、俳優さんや芸人さんなどのインタビュー、ドラマや俳優さんのコラム、お笑いのライブレポートなど、エンタメ系を中心に執筆している。

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【了】

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