いくらなんでもプロポーズ下手過ぎ…次回、橋本愛”てい”をどう落とす? 大河『べらぼう』第24話考察レビュー【ネタバレ】
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第24話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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蔦重(横浜流星)が色仕掛け?
第24回「げにつれなきは日本橋」で折り返しを迎えたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。蔦重(横浜流星)が日本橋に進出しようとするなか、のちに夫婦となるてい(橋本愛)と出会う。今はまだ蔦重につれない態度のていだが、いずれ2人が手と手を取り合う未来が想像できる回だった。
売りに出されている日本橋の地本問屋・丸屋の店舗を買取り、大きな一歩を踏み出そうとする蔦重。しかし、吉原の人々は「四民の外」とされ、初代大文字屋(伊藤淳史)が起こした騒動をきっかけに江戸市中には屋敷を持てない決まりとなっていた。
そこで、忘八たちは吉原にツケが溜まっている茶問屋・亀屋の若旦那に代理購入させ、蔦重が借りる形で商いを始める算段を思いつく。だが、その目論見は丸屋の女将であるていと鶴屋(風間俊介)に悟られて失敗。次の一手を考える中、独り身のていに蔦重が色仕掛けする案も出たが、すぐに引っ込められる。
だって、蔦重は典型的な”黙っていればモテる”タイプ。長年、瀬川(小芝風花)から寄せられている恋心に気づかず、無神経な言葉で傷つけたこともある。見かけも良く、才能があるためにアイドル的な人気はあるものの、女心はからっきしわからない蔦重に色仕掛けなど土台無理な話だった。
“忘八アベンジャーズ”が日本橋に乗り込む!
仕方なく忘八たちは丸屋の借金の証文を買い集め、店舗の明け渡しを迫るという強行手段に出ることに。「そっちが俺たちを拒むなら、こっちにもそれ相応のやり方がある」と言わんばかりに、「吉原者出入無用」の立札も引っこ抜き、日本橋に乗り込む忘八アベンジャーズの姿はかっこよかった。
しかし、そんな無法なやり方が許されるはずもなく、忘八たちと鶴屋が一触即発ムードとなるなか、蔦重が「けど、うちは丸屋さんの暖簾は残しますよ」と口を切る。「丸屋耕書堂」という名前で一つの店とし、共同で経営していくのはどうかというのだ。
さらには、奉行所の取り決めには逆らえないとするていに「じゃあ、俺と一緒になるってなぁどうです?」とまさかのプロポーズ。これにはりつ(安達祐実)も頭を抱えそうになる。
なにせ、ていはバツイチで借金をかかえている身。その弱みに漬け込むような蔦重の提案はていの不興を買い、「どんなに落ちぶれようと、吉原者と一緒になるなどありえません!」と突っぱねられる。
意外と2人は相性良し?
だが、蔦重がこんな提案をしたのには訳があった。それは重政(橋本淳)からていが寺の和尚(マキタスポーツ)に漢籍の手ほどきを受けていると聞きつけ、偵察に訪れた時のこと。ちょうど売れ残った本を寺に寄贈しようとしていたていが和尚にこう語る。
「屑屋に出せば本は本ではなく、ただの紙屑。手習いの子らに渡れば、子らに文字や知恵を与え、その一生が豊かで喜びに満ちたものになります」
前の夫に猛アプローチをかけられる形で結婚したてい。しかし、それは金目当てで、夫が吉原遊びに店の金をつぎ込んだことで丸屋の経営は傾いてしまったのだ。そのことに責任を感じながらも、ていの本に対する愛は揺るがなかった。
本を屑屋に売れば、いくらか金になる。でも、それより誰かの人生を豊かにすることを選んだていの本屋としての矜持に触れた蔦重。「書を以て世を耕し、この日の本をもっと豊かな国にするんだよ」という源内(安田顕)の言葉を胸にここまでやってきた自分と似たものを感じ、あの提案をしたのだった。
気持ちは分からないでもないが、やり方がまずい。「女将さんからすりゃ、また男が自分の独り身につけ込んできたとしか思えなかったんじゃないかい?」と言われ、初めて自分の間違いに気づくというべらぼうぶり。
でも、その無鉄砲さが蔦重の良さでもある。世間体や常識など考えず、己の心に従って突き進む姿勢が周囲を動かしてきた。ていもまた「本当は店続けてえんじゃねえですか?」という蔦重の言葉に一瞬、心が揺れる。
2人が甘いムードになるところは想像もつかないが、ビジネスパートナーのような関係であれば案外うまくやっていけるのではないだろうか。
【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
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