中村倫也の演技力が牽引…初回から引き込まれたワケ。ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』第1話考察&感想レビュー【ネタバレ】

text by まっつ

髙橋海人と中村倫也がW主演のドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)でスタートした。本作は木崎ちあきの同名シリーズ小説を原作。麻薬取締官の正反対バディが、謎に包まれた新型ドラッグ【DOPE】によって巻き起こる不可解な事件の解決に挑む、新時代の麻取アクション・エンターテインメント。今回は第1話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

——————————

「DOPE」が蔓延する近未来の⽇本が舞台

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
©TBS

 金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)は期待感たっぷりの出だしとなった。

 舞台は新型ドラッグ「DOPE」が蔓延している近未来の⽇本。DOPEを服用すると死に至る可能性があるが、極めて稀に特殊な能力を発現することがある。そのため、DOPEを悪用する輩が後を絶たず、それを取り締まるため生まれながらに異能力を持つ者によって組織された⿇薬取締部特殊捜査課がある。初回では、新⼈⿇薬取締官の才⽊優⼈(高橋海人)がその「特捜課」にスカウトされるところから物語がスタートする。

 ここまでの情報が第1話の前半に詰め込まれており、皆が夢見るマンガの設定の詰め合わせのような印象を受ける。「特捜課」には、超視力や聴覚、腕力などが常人離れした異能力を持つ人間が集まっており、さながらアベンジャーズだ。

 ただ、それがチープに見えないのはやはりW主演の一人、中村倫也の演技力によるところが大きい。中村が演じるのは、才木の教育係である陣内鉄平。至近距離で炎をかわす、超視力を活かしたバトルは言わずもがなクールなのだが、初回から陣内という人間の闇を遺憾なく表現しているのが特筆すべき点だ。

中村倫也の演技に見るファンサービス

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
©TBS

 陣内にはかつて最愛の妻がいたが、現在はおそらく亡くなっている。妻を亡くした“ある事件”をきっかけにDOPE服用者に対して冷酷になったと予測でき、躊躇なく銃弾を撃ち込む姿には驚かせられながらも、どこか納得感もある。現在のやさぐれ感から人の年輪のようなものを感じさせてくれるのは、中村ならではだろう。

 一方で、作品として中村ファンへの“サービス”も忘れていない。これまで出演した作品の多くで沼を生み出してきた中村だが、本作では陣内というフィルターを通して魅力を次々と届けてくる。新人である才木の命を救った直後の「バカか、お前」にはドキッとさせられるし、くわえタバコで銃を構える姿も私たちが求めていた中村そのものではないか。制作陣に熱心なファンがいるのではと思わず勘ぐってしまう。

 初回からキャラクターのゴリ押しを見せてきた陣内とタッグを組むことになるのが才木だ。才木は「未来予知」の異能力を持ち、「ドーパ―」と戦う立場にありながら、DOPE服用者にも更生の機会を与えるべきとの考え方を持つ。駆逐すべきと話す陣内とは対照的な立場におり、闇に対して光の属性を持っているようだ。

 真面目で正義感にあふれた才木と、陣内によるタッグは互いに影響し合っていくのだろう。ときに才木が“闇堕ち”しかけたり、逆に陣内の闇が照らされたり……凸凹コンビの今後を予想するのは決して難しくない。だが、だからこそその過程から目を離しくはないのだ。

「特捜課」メンバーの生活にも注目

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
©TBS

 異能力によるバトルも魅力だが、「特捜課」のメンバーそれぞれにも生活があることが描かれた。家族にも能力を隠しながら普通の人々と同じように家で暮らす様子は、あるはずのないリアリティももたらす。

 異能力だけでなく、人間的な側面もしっかりと深堀りすることで、ドラマへの信頼感はひとつもふたつも上がる。本作は、単に見ていて楽しいアクション作品にはとどまらないのではないだろうか。

 最後に、触れざるを得ないのが謎の男・ジウ(井浦新)。陣内と度々接触しており、協力関係がうかがえるが、泉ルカ(久間田琳加)とともに怪しい動きもしているようだ。

 さらに、ラストでちらっと見せた異能力は、「特捜課」の面々が持つものとは明らかに桁違いなそれに見えた。単純に井浦新という名優が演じているということもあるが、ジウがラスボスとして立ちはだかるのではという考察も捗る。

 初回から設定、魅力、今後の展開への伏線をマシマシに盛り込んできた『DOPE』。それでも、ドラマとして見やすく飽きさせない第1話となり、夏クールのイチオシとして毎週金曜日を楽しみにしたい。

【著者プロフィール:まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

【関連記事】
中村倫也の演技に魅了される…【写真】ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』第1話劇中カット一覧
「やる気が出る」邦画の最高傑作は? 素晴らしきお仕事映画5選
日本映画史上もっとも面白い「創作」をテーマにした作品は? 珠玉の傑作5選

【了】

error: Content is protected !!