木村文乃“愛実”の未熟さがリアル…ラウール“カヲル”のキスの意味は?『愛の、がっこう。』第1話考察&感想レビュー【ネタバレ】
木村文乃主演のドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)が放送中だ。木村演じる高校教師と、Snow Man・ラウールが演じる夜の世界でNo.1を目指すホストの、禁断なのに純愛な“愛”の物語。今回は、第1話のレビューをお届け。(文・於ありさ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】
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教師でありながら“低体温”のワケ
主人公の小川愛実(木村文乃)は、なんとも大人になりきれない少女のような人物、それも決して他人とは思えない、私たちの未熟な部分を描いている人物のようだと感じた。
学校では生徒たちから信用を得られず、プライベートでは父が紹介した相手と結婚するかもしれないという現在。そして、好きになった人のことを真っ直ぐに愛してしまったがゆえに、別れた彼氏を待ち伏せしたり、何度も電話をかけたり、郵便物を送りつけたりして、ストーカー化してしまった過去。
決してストーカーという行為は肯定できないが、彼女の愛ゆえの行動は「明日は我が身」と思わせるものがあった。「本を作りたい」その一心で入った会社だったはずなのに、愛に溺れて、目的を失ってしまって…。そういう経験って、絶対にないとは言い切れない、それどころか誰もがそうなり得る可能性を秘めていると感じたことからも、愛実は私たちを具現化したような人物だと感じた。
そんな事情の末、親の力添えもあり、教師になった愛実。彼女には今、志なんて何もない。想像していた大人像に近づくにはあまりにも遠すぎて、自分の仕事に対する“低体温ぶり”は生徒にもバレていることを自覚していた。
愛実(木村文乃)の絶妙な表情
ここでの愛実演じる木村が、ある一種の諦めを感じさせる表情が絶妙である。随時「なんで私が」と納得感なく仕事に向き合う姿、その一方で自分がやると決めたことに対しては意地になって、少々頑固な一面を見せるところ。この相反する感情を目、そして口元で表現するバランス感が非常に美しいと思った。
そんな愛実が出会ったのが、カヲル(ラウール)だった。昨今の報道から、ホストに対するイメージはあまり良いものとは言えない。カヲルはそんな世間のホスト像を具現化したような人物。しかし、彼にはいまいち“かりそめの愛”を演じきれていない部分も感じた。
例えば、自分が学歴がないことついてバカにされた時、知性に欠けるからと言われた時、彼はきちんと怒りを露わにした。それは、ホストを仕事と割り切れていないから。彼の言葉を借りるなら“自分の全部をかけること”がホストであると捉えられているからだろう。
そう考えると、厳格な家庭で育った教師・愛実と幼少期からまともに学校に通っていないカヲルは、境遇こそ違えど、共通するものを持っているように思えた。
その共通項が詰まっていたのが、物語の終盤にカヲルが言った「教師って命懸けだよな」という言葉だ。ここでカヲルが愛実のおでこにキスをしたのは、果たして“自分の全部をかけること”なのかどうかはなんとも掴み難い。ただ、あのキスからは女性として、1人の客として落としたいという思いよりも、自分と同じく全力で生きている“同士”へのエールのようだと感じた。
カヲル(ラウール)の本心は?
正直、ここから2人の恋がどのように始まるのかは見えてこない1話であった。愛実はカヲルを信じているだけで、そこには恋愛感情はないと思える。さらに、カヲルは愛実を客候補の1人としか見ていない。そんな2人の恋は、どう始まるのだろうか。
また「愛の、がっこう。」というタイトルは果たして何を意味するのだろう。
1話の印象では“愛の”はカヲルを“がっこう”は愛実を表しているのだろうという印象だが、その2人を繋ぐ「、」そして文末の「。」はなぜ着いているのか。ここからどのように展開していくのかを見守って行きたい。
【著者プロフィール:於ありさ】
ライター・インタビュアー。金融機関、編プロでの勤務を経て2018年よりフリーランスに。サンリオ・アイドル・恋愛コンテンツ・ガールズカルチャー・テレビ・ラジオ・お笑い・サッカーが好き。マイメロディに囲まれて暮らしている。
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