ギスギスの中で「癒し」の存在も…だんだんクセになる朝山家の魅力とは?『こんばんは、朝山家です。』第2話考察&感想【ネタバレ】
中村アン&小澤征悦がW主演を務めるドラマ『こんばんは、朝山家です。』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が放送中だ。本作は、“キレる妻”と“残念な夫”という衝突不可避の夫婦、愛しくも奇妙な家族の物語。今回は、第2話のレビューをお届けする。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】
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「朝子はえらい」の言葉の意図は?
物が多く、日差しがあまり入らない朝山家の朝は、今日も閉塞感が漂っていた。
その日、朝子(中村アン)は息子の晴太(嶋田鉄太)と中学校の体験会へ行く約束をしていたが、例によって晴太は起きられない。イライラのボルテージが上がる朝子を見て、賢太(小澤征悦)は「大声出さないでよ」などの小言を背に受けながら、自分が晴太を起こしに行く。
それでも結局晴太は起きず、今度は野球の練習試合に出かけようとしていた娘の蝶子(渡邉心結)が、自分が放置されていることに納得がいかず、野球に行かないと言い出す。あぁ、朝山家の日常は始まった。
お弁当を持たせると、蝶子は、賢太が呑み込んだ「お母さんだって生理中は機嫌が悪い」という言葉を捨て台詞のように残して、なんとか部活に出かけて行った。娘のほうが母親に辛辣になってしまうのは、結構“あるある”じゃないだろうか。
だが、晴太は一向に起きてこない。一緒に行くことは諦め、朝子は晴太を賢太に託して、1人で体験会へ。ここでも朝子は、ママ友らしき人から「えらいよ、朝子ちゃん」と言われる。前回の桐子(さとうほなみ)に続いて2人目だ。
「朝子はえらい」。意図的に入れられているように感じるのだが、これは賢太――というか、本作の原作者であり脚本家である足立紳の本心なのか、ちょっとした嫌味が織り交ぜられているのか気になるところ。
賢太(小澤征悦)はもっと感謝したほうがいい!
朝子が見学に来たのは晴太のような特性を持つ子どもたちを受け入れてくれる中学校だが、面談で、LD(=Learning Disabilitie)の傾向があり書くことが苦手な晴太は、この学校の方針にはあわないのではないかと言われてしまう。
さまざまな子どもがいるからこそ、それぞれの特性にあわせた学校を根気強く探すべきなのだろうけれど、それにしても面談を担当した人物の言い方にはややトゲがあるように感じてしまった。“こういうもの”なのだとしたら、あまりに前途多難だ。
一方、朝子が進めている賢太の映画企画はというと、桐子の計らいで、人気俳優の深山新之助(竹財輝之助)に企画書を見てもらうことが叶った。しかも、興味を示しているらしい。朝子にとってこんなにうれしい知らせはないのだろうが、賢太の意志も確認せずに深山と顔合わせの場をセッティングしてほしいと桐子にお願いしてしまう。
これはまた揉めるぞ…というのは、きっと多くの視聴者の思ったことだろうが、案の定、ちょっと揉めていた。湯船に浸かる朝子の横でグズグズ、深山が入ってくる前の会議室でもグズグズ。あの体たらく(失礼)を相手に、文句は言いつつも実現のために奔走する朝子がとても殊勝に映る。賢太はもっと感謝したほうがいい、と改めて思う。
ギスギスした時間の中でも癒しの存在が
あっさり終わってしまった顔合わせの後、深山に脚本も渡してみたものの、結局、出演は見送りとなった。桐子曰く「チャラい喋り方」の深山が、どんなふうに賢太をモデルとした主人公を演じるのかに興味があっただけに残念。
海外志向でちょっと鼻につく売れっ子俳優を好演する竹財輝之助は、さすがのインパクトだった。公式HPの相関図にも載っているので、きっとまた顔を見られる日がくるのだと信じている。そのときは、意外とうまく進んでいる映画に、ちょっと嫉妬とかしてくれたら面白そうだ。
また、インパクトとは少し違うが、ギスギスした時間が多く流れるなか、1話では晴太の担任・木本先生(影山優佳)の存在が癒やしだった。今回は登場がなく残念だったが、晴太が通う療育センターの職員・陸先生(小島健)がその代わりを担ってくれていた。
優しい笑顔と、やわらかい関西弁。好青年に小島健がよくハマっていた。何よりも、朝山家の人々を中心に好き勝手に喋り出して1人の話を最後までゆっくり聞けないシーンが多いだけに、晴太の気持ちをしっかり聞こうとしてくれる態度に安心する。やっぱり、人は話を落ち着いて聞いてくれる人を求めるのかもしれない。
1話、2話と観てきて、朝山家の人々がどんな性格で、どんなところにイライラするポイントがあるのかが徐々にわかってきた。そうなってくると、共感はできずとも彼らに俄然愛着が湧いてくるし、あの家族の感じがクセにもなる。すっかり朝山家の虜だ。
【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
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