「大人になっても青春はできる」ドラマ『ちはやふる-めぐり-』プロデューサーが、広瀬すずらOG・OB再集結の裏側を語る

text by 苫とり子

末次由紀原作の映画『ちはやふる』シリーズの10年後を舞台にしたドラマ『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)。廃部危機の梅園高校・競技かるた部のめぐる(當真あみ)が、顧問の奏(上白石萌音)と出会い、成長していく姿が描かれる。榊原真由子プロデューサーに続編制作の裏側を語ってもらった。今回は後編。(取材・文:苫とり子)

藍沢めぐるは當真あみをイメージしたキャラクター

『ちはやふる-めぐり-』第1話©日本テレビ
『ちはやふる-めぐり-』第1話©日本テレビ

―――主人公・めぐる役の當真あみさんの第一印象についてお聞かせください。

「めぐるという役はもともと當真さんをイメージして作っていたこともあり、本当にぴったりだなと。當真さんは10代の俳優さんの中でも際立って存在感があってお芝居の上手な方なので、私たちの期待通りにめぐるの人生を生きてくださったなと思ってます」

―――現場で當真さんのお芝居を見て、感心された場面はありますか?

「おそらく當真さんの中ではもう、めぐると一体化してるんですよね。特に撮影の後半は、本当に鬼気迫るお芝居を見せてくださって。それはきっと當真さんがめぐるの人生を3ヶ月近く生きて、完全に役が彼女の中に入ってるからこそだと思います」

―――他にもたくさんの若手キャストの皆さんが生徒役で出演されていますが、現場での話し合いは活発ですか?

「そうですね。生徒役の皆さんは本当にワンシーン、ワンシーン、どうしたら良いものになるかを真剣に話し合って一緒に作ってくださいました。まさに部活の雰囲気で、奏役の上白石さんは本当に先生みたいでした。その青春感が画面にも表れていると思います」

―――休憩中はかるたの練習も?

「本当によく飽きないねって思うくらい、休憩中もずっと皆さんかるたをやってましたね。体力もかなり消費すると思うのですが、やっぱり皆さんお若いから、とにかく元気で(笑)。飲み込みも早くて、最後の試合を撮影する頃には『もう少しこっちに飛ばしてほしい』といったオーダーにも一発で応えてくれるほど上達していて、感激しました」

主人公よりもライバルが千早に近い

『ちはやふる-めぐり-』第1話©日本テレビ
『ちはやふる-めぐり-』第1話©日本テレビ

―――今後の展開についてもお聞かせください。千早のようにめぐるもクイーンを目指していくことになるのでしょうか。

「今回のドラマは、個人戦ではなく団体戦がメインです。めぐるたち梅園高校・競技かるた部が全国大会出場を目指して一致団結し、クライマックスでは千早が顧問を務める強豪の瑞沢に立ち向かっていく流れになっています」

―――映画では、千早×新×太一の三角関係も見どころとなっていましたが、ドラマにも恋愛要素が?

「今回は恋愛要素はあまりなく、どちらかと言えば、めぐると凪(原菜乃華さん)の友情の話になっています。それこそ、『ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは』は激しい恋の歌でしたが、今回のテーマになっている『めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな』は友情の歌なんです。もちろん、全くゼロではありませんが、何も恋愛することだけが青春ではないとも思うので、今回は恋愛よりも友情に主軸を置いています」

―――第1話で少し描かれた、めぐると凪の因縁も気になるポイントです。凪はどのようなキャラクターですか?

「凪はめぐるの幼なじみで、千早に憧れて競技かるたを始めたという役どころです。そのため、原さんも映画で広瀬さんの演技を研究して、千早っぽい動きを意識的に取り入れてくださっています。千早が着ていたTシャツを凪が着ているシーンもあるので、映画『ちはやふる』ファンの方にはそのあたりも楽しんでいただけるのではないかと。今回は千早とは異なるキャラクターが主人公で、そのライバルがむしろ千早に近いキャラクターというところがポイントとなっています」

―――凪は圧倒的主人公感があり、めぐるが劣等感を抱く気持ちがよくわかります。

「大好きな友達だけど、その子の方が自分より優っている気がして、コンプレックスを抱いたり、敵わないなと思わされて苦しい思いをしたりするのってきっと多くの人が経験ありますよね。そういう意味で、めぐるは全世代の方が共感しやすいキャラクターなのではないかと思っています」

広瀬すず&野村周平ら瑞沢高校OB・OG再集結の裏側

『ちはやふる-めぐり-』第1話©日本テレビ
『ちはやふる-めぐり-』第1話©日本テレビ

―――今回、主人公のメンター的な役割を千早ではなく敢えて奏に託した理由とは何だったのでしょうか。

「今回は千早とは異なる主人公像を描きたいと思ってたので、その子に寄り添ってあげられる大人って誰だろうと思ったときに、奏が一番適任だと思ったからです。学生の頃、めぐるからすれば“青春セレブ”だった奏だけれど、あの時になりたかった自分にはなれてないし、なんとなく教師になったけど、私って本当は何がしたいんだっけ?という思いを抱えている。そんな奏が青春の素晴らしさを語るからこそ、説得力があると思うんですよ。また若い方だけではなく、全世代の方に楽しんでいただきたいので、20代女性の普遍的な悩みを抱えている奏を中心に据えるという判断をしました」

―――生徒役の皆さんの中で、上白石萌音さんはどんな存在ですか?

「上白石さんは本当に奏みたいで、生徒役の皆さんをそばで見守って、お芝居について『ここが良かったよ!』って声をかけてあげるなど、すごく温かい寄り添い方をしてくださる方です。そのおかげで生徒役の皆さんも自信を持って撮影に臨めたのだと思います。生徒役の皆さんも『萌音さん、萌音さん』と慕ってみんな頼りにしていました」

―――広瀬さんをはじめとするOB・OGの再集結も大きな話題となっていましたが、久しぶりに再会した皆さんの様子はいかがでしたか?

「広瀬さんが『一瞬であの頃に戻れた』とおっしゃっていたように、本当に久しぶりの再会とは思えないほど、皆さんとても楽しそうにされていました。撮影ではアドリブのシーンも多かったんですが、さすがは息ぴったりで、現場にいた現役キャストの皆さんも『すごい!』って嬉しそうにしていましたね。OB・OGの皆さんもすごく優しくて、現役キャストの皆さんに温かい言葉をかけてくださったり、とても素敵な時間でした」

―――現役キャストの皆さんが、また10年後に集まれたら素敵ですね。

「今回、OB・OGの皆さんが大スターになっていることもあって、スケジュールを合わせるのがすごく大変だったんです。10年後、同じ苦労をさせてほしいという話を現役キャストの皆さんにしました。このドラマを経て皆さんがさらに活躍し、いざまた集まることになった時に『みんな人気者すぎて、スケジュール合わないよ〜!』って嬉しい悲鳴を上げられたら最高だなと思ってます」

―――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

「このドラマを作る中で、『ちはやふる』が届けるメッセージというのはやはり普遍的なものだなと改めて感じています。百人一首が千年経っても変わらない思いを紡いでいるように、私たちもいつの時代も変わらない青春の素晴らしさ、今を懸命に生きることの尊さを物語に込めました。10代の方はもちろん、大人になっても青春はできると思っていますので、ぜひ全世代の方にご覧いただけると嬉しいです。また、これまで豪華キャストの出演を解禁してきましたが、まだサプライズもある…かもしれないので、そのあたりも楽しみにしていてください!」

【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

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【了】

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