春海四方”松田”は本当に犯人? 安達祐実”汐里”が意味深な理由とは? ドラマ『誘拐の日』第5話考察&感想【ネタバレ】

ドラマ『誘拐の日』(テレビ朝日系)が放送中だ。本作は、斎藤工演じる誘拐犯と、永尾柚乃演じる記憶を失った天才少女2人の奇妙な逃亡劇&特別な絆を描く《巻き込まれ型》ヒューマンミステリー。今回は第5話のレビューをお届けする。(文・ふくだりょうこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】

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凛(永尾柚乃)と政宗(斎藤工)が再び命の危機に…。

『誘拐の日』第5話 ©テレビ朝日
『誘拐の日』第5話 ©テレビ朝日

 回を追うごとに情報が増えているように思うのだが、気のせいだろうか。

 医学博士・水原由紀子(内田有紀)の別荘から逃げ出した凛(永尾柚乃)。しかし、シンガポールの投資会社「Zキャピタルズ」の日本支部長ケビン福住(鈴木浩介)に捕まってしまう。凛と対面した瞬間「みぃつけた~」と微笑む福住の姿は、夢に出そうだ。

 一方、政宗(斎藤工)は刑事の須之内(江口洋介)と遭遇。手錠をかけられて連行されるところを、福住の部下である謎の男改め鮫洲(栄信)が須之内を襲う。

 そのまま殺されるのかと思いきや、凛が政宗を連れてきてほしいと言っていたのだ。「政宗が死ぬようなことがあったら自分も死ぬ」と。警察に捕まることも、殺されることもなく凛と再会を果たした政宗。

 水原たちにとって凛は欠かせない存在で、その凛が政宗を必要としているなら、身の安全は保証されそうだが、福住たちは凛の父・七瀬守(半田周平)が開発した「天才を作り出す薬」の成分表を探している。この成分表が見つかれば、もう凛に用済みだ。

 そうなれば、再び凛と政宗は命の危機に陥る。2人はどうにか別荘から再び抜け出す方法を考え始める。

凛の親を殺した犯人は松田(春海四方)

『誘拐の日』第5話 ©テレビ朝日
『誘拐の日』第5話 ©テレビ朝日

 まず、今回の大きなトピックスは凛の両親を殺した犯人が判明したこと。犯人は警備員の松田(春海四方)だった。

 松田の妻は、出産の際、守の父である栄作(渋川清彦)が帝王切開をする予定だった。しかし、過労のため、手術経験の浅い若手の医師が代理として執刀し結果、妻と子供は亡くなることになってしまった。

 松田はその恨みから栄作を切りつけようとしたが、実際に傷を負わせたのは栄作の息子、つまり守ということになる。子どもは一命をとりとめ、松田は院長と和解した。そして現在は七瀬宅の警備をしている。一連の流れには違和感がある。

 守を殺した理由も恨みなどではなく、金庫に大金が入っているのを見かけたための強盗目的だった。しかし金庫には金がなく、何かないかと物色しているところで、凛の母の遺体を発見した。殺したのは守で、守はその罪を擦り付けた上で松田を殺そうとしたが、反撃されて殺された…というわけだ。
 
 守は妻を殺すつもりで、事件の数日前に松田に防犯カメラを外させていた。「以前から妻のことが気に入らなかった」と言っていたが、それにしては計画が杜撰に見える。

 元から殺す予定だったなら、凶器がペーパーナイフなのはいかがなものか? もし松田が現れなかったら、妻の死をどう弁解するつもりだったのか? 松田は本当に金目当てで侵入したのか? そして金庫にあったお金はどこに消えたのか?

 また、松田は、汐里(安達祐実)が病院を訪れた際、汐里のことを知っているようなそぶりを見せていた。2人とも、やはり次世代知能開発プロジェクトと関わりがあるのではないだろうか。

深まる凛と政宗の絆

『誘拐の日』第5話 ©テレビ朝日
『誘拐の日』第5話 ©テレビ朝日

 5話まで来て、凛と政宗の絆がかなり強いものになってきている。「政宗が死ぬようなことがあったら自分も死ぬ」というセリフは、政宗を守るものではあるが、それもかなり本音に近いところのように思う。

 凛は両親と話をしていた時間よりも、政宗と一緒に過ごしていた数日間のほうがよく話をしている、と言っていた。どれだけ親子関係が希薄だったのか分かる。

 研究に没頭する父親はともかく、母親も凛に無関心だったのだろうか。どうも汐里と政宗と何気なく序盤で孤児だったと語られていたことが引っかかる。凛は本当に七瀬夫妻の子なのだろうか、と勘繰ってしまう。

 1話での凛というのは生意気でかわいげがない子どもだった。それが今ではかわいらしさも垣間見えている。最終話までにさまざまな謎が明らかになるだろうが、凛がどのぐらい子どもらしくなるか、心からの笑顔がどれだけ見られるかも楽しみだ。

【著者プロフィール:ふくだりょうこ】

大阪生まれ関東育ちのライター。
大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。
ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。

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