清原果耶主演のドラマ『初恋DOGs』（TBS系）が放送中だ。TBSが韓国の制作会社STUDIO DRAGONと初タッグを組んだ本作は、愛犬同士の一目ぼれから始まる、こじらせ大人3人の国を越えたラブストーリー。今回は、第7話のレビューをお届け。（文・あまのさき）【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】

——————————

“こじらせ女子”、愛子（清原果耶）にどんな変化が？

　ソハ（ナ・イヌ）から愛子（清原果耶）への「好き」は、愛情と友情が7:3。ソハのなかにもまだ迷いがあるようだが、それを隠すことなく打ち明けてくれるところに好感が持てる。

　それに、好きとか嫌いとか、そのほかの感情に、100％純粋なものは珍しいのかもしれない。特に恋愛感情は、ソハのおばあちゃんが言っていたように、風が吹いたり虹が出たり、そういうちょっとした“何か”の積み重ねで変わっていくものだ。

「初恋DOGs」第7話は、愛子の両親の離婚問題などから生じた“何か”を経て、愛子の“殻”が少しずつ破れていくという展開だった。

　これまで愛子が何度説得をしても離婚に踏み切ることのなかった母・千佳子（坂井真紀）が、ついに離婚を決意する。きっかけは健康診断で再検査を受けたこと。幸い何事もなかったが、人生を変えるのに病気になってからでは遅い、と気付いたという。

　弁護士である愛子が間に立って実現した夫婦の話し合い。千佳子がしばし愛子の家に居候していたため、家のなかは荒れ放題だ。「先が思いやられる」と顔をしかめる千佳子だったが、憔悴している夫を見て動揺を隠せない様子だった。

千佳子（坂井真紀）の決断がもたらしたこと

　最初は「戻ってきてくれ」と言っていたものの、千佳子の決意が固いと見るや、夫は離婚を承諾。離婚届に署名を済ませたが、次いで署名をしていた千佳子の手がゆっくり止まる。逡巡の末、「あなたを嫌いになれない」と、やり直すことを決めたのだった。

　見ようによっては、情に絆されただけ、かもしれない。ただ、まだそれだけの情が千佳子に残っていたともいえる。

　人生を変えるためにとった大胆な行動が、千佳子のなかにあった感情に気付かせ、夫の本心に向き合う時間をもたらした。「ひとりでも平気」と思えたからこそ、もう一度、幸せになろうと努力するほうを選ぶ決心ができたのだろう。

　決して長いとは言えないシーンで、母親世代の葛藤や決意を雄弁に表現する坂井真紀は圧巻だった。だからこそ、台詞の一つひとつが生き生きと響き、「幸せになろうと努力した」という言葉に、愛子の心が揺れているのにも説得力があった。

　ソハからの好意に、自分の気持ちと向き合う愛子。ドラマ的には完全にフラグだが、千佳子の「自分を好きになってくれる人と一緒になったほうがいい」という言葉や、ソハがパパラッチに言った「大切な人（＝愛子）を傷つけないで」という言葉から、愛子の頭のなかではたしかにソハの存在が膨らんでいたはずだ。

　だが、両親の離婚問題が一件落着した愛子が、ふと顔を見たくなったのは快（成田凌）だった。優香（深田恭子）に言わせるところの、直感だ。

快（成田凌）の電話をきっかけに運命が回り出す？

　肝心の快は、ソハが愛子への気持ちをだんだんと隠さなくなってきていることにそわそわしていた。ソハと動物看護士の功介（萩原利久）に煽られて、ソハが行くと言えば自分も愛子の家に夕飯をごちそうになりに行くし、ガラケーからスマホにも変える。

　そして、そのそわそわのまま、愛子のスマホを鳴らした。愛子も愛子で、快に会いたかった絶好のタイミングだった。走って海辺にやって来た愛子は紫のサテン地が抜けるような青空に映えるセットアップ姿で、それはまるで絵画のよう。

　そんな愛子を前にしても、快は相変わらずで、慣れないスマホに遊ばれていた。呆れた愛子がふわっと笑った瞬間、快の顔が愛子に近づく。快はただ髪についた葉っぱを取ろうとしただけだったけれど、この行動を受けて、愛子は思わず快にキスをした。

　快がスマホを買って、愛子が笑って、風が吹いて、髪に葉っぱがついていて、それをきっかけに突発的な行動が生まれる。恋はタイミング、なんていうけれど、一瞬一瞬の積み重ねが、物事をここまで運んできたことを実感する、美しい流れだった。

　愛子のキスが明確な恋のはじまりにはならなそうではあるが、確実に“殻”は破れはじめているのではないだろうか。

【著者プロフィール：あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

【関連記事】
・【写真】清原果耶“愛子”がキス…絵画のような場面にうっとり…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『初恋DOGS』第7話劇中カット一覧
・成田凌”快”の素直さに、ナ・イヌ“ソハ”の告白…三角関係に期待が高まるワケ。『初恋DOGs』第6話考察＆感想
・成田凌”快”がとにかくじれったい…三角関係を推し進めてくれそうな存在とは？『初恋DOGs』第5話考察＆感想

【了】