中村倫也“陣内”の20分に及ぶ怒鳴り合いが圧巻…井浦新“ジウ”最大の謎とは?ドラマ『DOPE』第7話考察&感想【ネタバレ】
髙橋海人と中村倫也がW主演のドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)が放送中だ。正反対バディが新型ドラッグ【DOPE】によって巻き起こる不可解な事件の解決に挑む、新時代の麻取アクション・エンターテインメント。今回は第7話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
——————————
壮絶な幕開けが意味するものは
第1部が終結したというところだろうか。
金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』の第7話は壮絶な幕開けとなった。
前回、陣内(中村倫也)はついに最愛の妻・香織(入山法子)殺害の犯人を知った。それが親友・戸倉(小池徹平)だったという事実は陣内に大きな衝撃を与え、視聴者も膝から崩れ落ちた。銃を構えた手に指輪が光っているのが見え、家族を持つ戸倉にも致し方ない事情があったことを信じたかったが、すべてが納得できるわけでもなかった。
陣内の前で制圧された戸倉は、香織殺害の真相を語り始める。戸倉は病気の娘を救うために違法なやり方で臓器移植を行い、「五億円強奪事件」に関与していた。さらに、かつて警察の記者クラブに所属していた香織に好意を寄せていたが、すでに陣内と交際していたため、恋が実ることはなかったと明かす。
「五億円強奪事件」が警察内部の犯行であると勘づいていた香織を、戸倉は口止めしようとするもかなうことなく、結局は「ドーパー」となり異能力を使用して殺害してしまう。
これらが陣内が追い続けていた事件の真相であるわけだが、戸倉に同情することはできなかった。戸倉は「俺を選ばなかったくせにあんな記事を書いて、また俺の人生を邪魔しようとするのが許せなかった!」と打ち明けたが、最愛の人を失った陣内はもっとましな言い訳を求めていたことだろう。あまりに自分勝手な凶行に、目をひん剥いて声を荒げながら銃を突きつける陣内を「復讐鬼」と非難する気にはなれない。
20分間に及ぶ怒鳴り合い…中村倫也の表情に注目
それにしても、冒頭の20分間は濃厚であっという間だった。基本的に同じ場所で陣内と戸倉が2人で喋るという、舞台のような構図となっており、どちらも感情をむき出しにして怒鳴り合い激しい熱を感じられるのだが、その中でも中村の表情の機微がこの20分間に奥行きを与える。
黙って涙を頬につたらせ、諦めるかのように言葉をつぶやき、狂ったような顔に変化させながら、戸倉の家族を奪うと脅す。一連の表情の変遷はもはや美しささえあり、演技の限界にも挑戦しているのではとも感じさせる。中村の類まれな演技力があったからこそ、まるで最終話と見紛う冒頭を作り出すことができたのだろう。
ただ、才木(髙橋海人)の説得によって陣内は復讐への思いを鈍らせていた。才木は新たに覚醒した“サイコメトリー”により陣内の過去を知って、香織が復讐など望んでいないことを思い出させる。いや、そもそも才木の元にジッポを置いていった時点で、陣内は復讐こそが自分のやるべきことかを疑っていたのかもしれない。戸倉や本郷を殺したとしても、あの日一番大事な人を救えなかった自分を許すことはできないとわかっていたのだろう。
力がありながら救えず、一人生き残ってしまった陣内。その苦しみは想像するに余りあるものだが、才木の涙ながらの言葉で生き続けることを決めたように見えた。だが突如として、何者かに操られた陣内は戸倉を射殺してしまう。
いよいよ第2部…最大の謎は?
さて、ここからは“第2部”へ突入だ。直後、才木の前で葛城(三浦誠己)が操られたところから見ても、明らかにジウ(井浦新)が操作系の異能力を持っている。あまりに強力な能力を持つことが決定的となる中、ジウ擁する犯罪シンジゲート白鴉との戦いへ向かっていくことが予想される。
気がかりなのは陣内の身の振り方。殺害容疑で牢に囚われたものの、ジウの力によって脱走に成功する。敵であるように見えるジウとともに行動し、一度離れた「特捜課」とどう関わっていくのだろうか。
そして、最大の謎がジウの行動原理。強大な異能力を持つが、なにか大きなことをしたいというよりは、単にゲーム感覚で世界をめちゃくちゃにしようとしているようにも見える。陣内にしても、才木にしても、自分を楽しませてくれるゲーム相手としてしか見ていないのかもしれない。異能力ハンターや「バイオエイル遺伝子研究所」の動き出す中、第2部はどのような結末を見るのだろうか。
【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
【関連記事】
・【写真】圧巻!中村倫也“陣内”の20分に及ぶ演技に痺れる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』第7話劇中カット一覧
・中村倫也の演技が凄みを増したワケ…“陣内”の復讐のカウントダウン始まる。ドラマ『DOPE』第6話考察&感想
・髙橋海人”才木”の私服姿に仰天? 中村倫也の「迫真の芝居」が冴えわたったワケ。ドラマ『DOPE』第5話考察&感想
【了】