七瀬家への復讐か金か…安達祐実“汐里”の冷徹な真意と誘拐事件の裏側とは? ドラマ『誘拐の日』第7話考察&感想【ネタバレ】

ドラマ『誘拐の日』(テレビ朝日系)が放送中だ。本作は、斎藤工演じる誘拐犯と、永尾柚乃演じる記憶を失った天才少女2人の奇妙な逃亡劇&特別な絆を描く《巻き込まれ型》ヒューマンミステリー。今回は第7話のレビューをお届けする。(文・ふくだりょうこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】
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斎藤工“政宗”と永尾柚乃“凛”の逃亡計画

『誘拐の日』第7話©テレビ朝日
『誘拐の日』第7話©テレビ朝日

 弁護士の山崎忠(深澤辰哉)と医学博士の水原由紀子(内田有紀)を味方にして、逃亡計画を実行した政宗(斎藤工)と凛(永尾柚乃)。

 政宗は刑事である須之内(江口洋介)に協力を仰ぎ、鮫洲(栄信)の足止めにも成功し、しばしの穏やかな時間を過ごすことになる。

 手術を受ける芽生(日下莉帆)に会いに行く政宗のために服を選んだり(なんでも似合いそうな斎藤工に絶妙に似合わないコーディネイトをするのがすごい)、政宗と凛、山崎の三人で穏やかに食事を摂ったり。

 芽生の手術を見届けて、誘拐犯として自首する。今日で全てを終えると言っていた政宗だったが、そんな希望を奪い去っていくのは鮫洲たちだった。

 山崎は凛をかばって大ケガをし、凛は鮫洲たちに捕まり、政宗はまたもやボコボコに殴られ、それぞれが大ピンチに陥ってしまう。

冷徹な安達祐実“汐里”の本性と政宗の意外な過去

『誘拐の日』第7話©テレビ朝日
『誘拐の日』第7話©テレビ朝日

 今回の肝となったのが、政宗の過去が一部明らかになったこと。児童養護施設で共に時間を過ごしていた政宗と汐里(安達祐実)。現在のふたりの様子から、汐里が何もできない政宗を守ってあげていたのだと思われていたが、実は逆だった。政宗は頭も良く、子どもたちの輪の中心にいるような人物だったという。むしろ、政宗が汐里を守ってあげている立場だったのだ。

 おまけに、もともと七瀬家に養子として迎えられたのは政宗だった。汐里は無理やり政宗についていき、卑怯な手を使って養子という立場を奪った……ということが明らかになった。

 ラムネもやはり昔のことが関係していた。頭痛がしたときに飲むために薬が処方されていたが、それを汐里がラムネにすり替えていたのだ。

 どことなく、常に冷たい空気をはらんでいた汐里だが、行いだけを見るとかなりの「悪女」である。

誘拐事件の黒幕の影

『誘拐の日』第7話©テレビ朝日
『誘拐の日』第7話©テレビ朝日

 ここで気になるのが現在の政宗が、汐里を心から信頼していることだ。養子という立場を追われた政宗が、場合によっては汐里を憎んでいる可能性だってある。が、今の政宗は当時のことを何も覚えていないようだ。覚えていないのは、次世代知能開発プロジェクトによる薬の投与のせいか。どうやら、養子になる前の政宗は勉強面においてずいぶんと優秀だったようである。今ではその面影もない。もしかして薬の副作用といったものなのだろうか。凛も誘拐された日の記憶を失っている。記憶障害が発生するようなトリガーが何かあるのだろうか。

 また、汐里との関係性における記憶も書き換えられているような印象がある。これも何かしら副作用によるものなのか、それとも、汐里が政宗に何かしたのか。

 こうなってくるとまた別の疑問も湧いてくる。汐里は一体、何がしたいのか、ということだ。最初、凛を誘拐するように仕向けたのは七瀬家への復讐なのかと思った。養子として人体実験をされていたこと、怪我を負わされたのがきっかけでHIVに感染したこと。七瀬家を恨む動機はあった。もしくは卑怯な手を使ってまで七瀬家の養子となったのに、結果的には養子は守(半田周平)になった。それが気に入らず、プロジェクトの成功体である凛を奪って恨みを晴らそうとしたのか。

 第7話のラストでは、プロジェクトに使用する薬剤の組成表が隠されていると思われる凛のペンダントを手に福住の前に登場。お金が目的なのか。

 こうなってくると、汐里の全てが怪しく見えてくる。娘の芽生が大手術を受けるというのには落ち着き払っていて、いつもどおりしっかりとメイク。子どもにとっても自分にとっても大切な日だから気合いを入れた、と考えることもできるが、心配している様子は見られない。対比として、どうしても子どもを助けて必死になっている水原の姿が描かれているので、余計に汐里の冷たさが際立つ。

「誘拐」の黒幕はそもそも汐里だった。しかし、誘拐はあくまで建前。汐里の真意はきっと、もうまもなく明らかになる。

【著者プロフィール:ふくだりょうこ】
大阪生まれ関東育ちのライター。
大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。
ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。

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