新田真剣佑、待望の再登場が熱すぎる…! ”新”の「後悔」の言葉が沁みるワケ。『ちはやふる-めぐり-』第7話考察&感想【ネタバレ】
當真あみが主演を務める7月期水曜ドラマ『ちはやふる-めぐり-』。本作は、競技かるたに青春をかける高校生たちの姿を熱く描いた、映画シリーズから10年後、バトンを受け継いだ令和の高校生たちの青春を描くオリジナルストーリーだ。今回は、第7話のレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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「せをはやみ」に込められた2つの解釈
「川の流れは岩で二つに裂かれても、やがてまた一つに戻る運命」
『ちはやふるーめぐりー』第7話のエピソードタイトルに選出された「せをはやみ」には、2つの解釈が存在する。離れ離れになった恋人との再会を願う歌という説と、政争に敗れて不遇な人生を送った崇徳院の復権への誓いが込められた歌という説だ。
めぐる(當真あみ)が一度は諦めた青春の場に舞い戻り、かつての友・凪(原菜乃華)とかるたを通じて対峙するこの回にまさしくぴったりの一首と言えるだろう。
第7話では、めぐると凪の別離に千早(広瀬すず)が大きく関わっていたことが明らかになる。生まれた時から家が隣同士で何をするにも一緒だった2人。
小学生の頃、偶然出会った千早から誘われたかるた教室にも当然のごとく一緒に行くはずだった。しかし、その約束は果たされず、2人は道を分かつことになる。
純風満帆な凪(原菜乃華)に劣等感を抱くめぐる(當真あみ)
それにしても千早から放たれる圧倒的なパワーは一体何なのだろう。好きなものへのまっすぐさが生み出すものなのか、それは否応なく人を惹きつける。
テレビ取材のカメラの前で、自分が部活に勧誘した後輩たちに囲まれる凪にも同じパワーを感じた人も多いのではないか。千早に代わって瑞沢かるた部の面倒を見ているOBの菫(優希美青)も「まるで綾瀬先輩だ」と頬を緩ませる。
まさしく主人公であり、そんな凪に対する劣等感を抱き始めていためぐる。中学受験に凪だけ合格したことが、決定打となったのだろう。
「私たちここで別れる運命だったんだよ」と言って、めぐるは凪を背に走り去った。その後、凪は千早のもとでかるたの才能をめきめきと伸ばし、めぐるは長らく青春から遠ざかることとなる。
だが、めぐるの中にはあの時、凪とかるた教室に行かなかったことへの後悔がずっと残っていたのだろう。その後悔が、奏(上白石萌音)との出会いを引き寄せたのかもしれない。
めぐるは自分と同じく圧倒的主人公を眩しく見つめる奏に導かれ、かるたの道へ。そして何の因果か、東京予選大会で梅園と瑞沢が一回戦で当たることになる。
東京予選で瑞沢と梅園が激突
一方は過去に何度も全国で優勝を果たしてきた強豪で、もう一方は部員のほとんどが少し前まで素人だった急ごしらえの弱小。普通ならストレート負けだ。
しかし、梅園勝利のためにプレーヤーを退き、マネジメントに専念することを決めた草太(山時聡真)のオーダーが冴え渡る。凪とのA級対決となった八雲(坂元愛登)、B級選手とそれぞれ戦う風希(齋藤潤)と春馬(高村佳偉人)が健闘すれば、ミラクル勝利も夢じゃない。
ところが、八雲と風希については懸念がある。部員唯一のA級選手で入部当初から一切物怖じしない闘いぶりが印象的だった八雲。
だが、公式の団体戦に挑むのは今回が初めてで、手の震えを抑えるその様子から途轍もない不安が伝わってくる。八雲が頼みの綱である梅園にとって、これはかなりの痛手だ。
また偵察で瑞沢かるた部を訪ねた八雲を迎えに行った際、懸心(藤原大祐)と対戦した風希は手首を痛めている。2人がベストの状態ではない以上、めぐると千江莉(嵐莉菜)も勝ちを取りにいかなければならないが、どちらも相手はA級。不利な状況からのスタートとなる。
新(新田真剣佑)の後悔とエールがめぐるたちに託すもの
ちなみに風希を手当てした凪が、「OBに医者の卵がいてね、その人が教えてくれた」と語っていたのは現在研修医として働く太一(野村周平)のことだろう。
さらに、東京都予選の開会宣言を担ったのは名人の新(新田真剣佑)だ。そこで新は学生時代、団体戦に早く向き合わなかったことへの後悔を語る。
めぐるはもちろん、梅園の部員たちはみんな、かるたに本気で向き合い始めたのが他の人より遅い。でも、その遅れを取り戻すかのように猛スピードでかるたの札を追いかけてきた。
「過去の選択はやり直せないけど、それを正解にしていくことなら今からでもできます。今日は存分に力を発揮して、正解にしていってください」と新が言うように、めぐるたちは過去の選択を正解にすることができるだろうか。
【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。