2人の嘘に涙…視聴者がラウール“カヲル”に求めてしまうものとは?『愛の、がっこう。』第7話考察&感想レビュー【ネタバレ】
木村文乃主演のドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)が放送中だ。木村演じる高校教師と、Snow Man・ラウールが演じる夜の世界でNo.1を目指すホストの、禁断なのに純愛な“愛”の物語。今回は、第7話のレビューをお届け。(文・於ありさ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 感想 レビュー】
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2人の嘘と“手書き”がポイントに
嘘をついてはいけない――子どもの頃、そんなことを言われたものだが、大人になるにつれて、誰かの幸せのために嘘をつくという状況もときには必要だと思い知らされてきた。
愛実(木村文乃)とカヲル(ラウール)は、お互いにたしかに惹かれあっていた。だからこそ、もう会わないのが賢明だ、これ以上の深入りはしない方がお互いのためだとわかっている。
それもあって、第7話は2人の嘘が目につく回だった気がした。
まずは、愛実。第6話で、カヲルとの最後のひとときを過ごした直後に、学校から「カヲルと会っていたのを、生徒の夏希(早坂美海)に目撃されていた」との連絡が来て、血の気が引く。
そして、その関係は親や学校たちからも問題視され、愛実は思ってもいないことを念書を書かされるのだ。自分の心に嘘をついて「社会通念上、悪とされる存在とは二度と関わりを持たない」と。
これまである意味、ドラマチックに描かれていた“手書き”という存在。それが、カヲルとの関係を断ち切った、このタイミングで屈辱的な気分を味わされるツールとして使われるなんて、なかなか残酷である。
カヲル(ラウール)が嘘をついたワケ
それからもう1つ、愛実がカヲルの嘘に付き合うシーンがあった。カヲルが入院している病院に行き、そこから、その病院にいるはずのカヲルに電話をかける。しかし、カヲルは病院にいることを愛実に知られまいと「今店にいて、お客さんがひっきりなしで…」といった嘘をつく。
これにいつもの愛実なら「また、嘘ばかり!百々子(田中みな実)から聞いたんだから!」と否定しそうなものだが、ここで愛実は彼の嘘を受け入れた。その直後のモノローグで「彼は私のためにお芝居をしてくれた」と言っていたため、嘘だと気づいて、嘘に付き合ったということは明白である。
では、このシーンについてカヲルサイドからも考えてみたい。なぜ、カヲルは嘘をついたのだろう、と。
このシーンで、最初は電話を無視したカヲル。しかし、そこから掛け直してしまうまでの本の数秒間の表情が想像を掻き立てた。シャープペンシルをとんとんとし、上を向いて、またスマートフォンを見る。その仕草を見るに、もうこれが彼女からの最後かもしれないという思い、そして、彼女を放っておくことはできないという単純に思いを断ち切れていない様子が伝わってくる。
その一方で、ちょっと面倒くさそうにするのは、こうやって電話をかけ直すことが彼女の幸せのためにはならないと気づいているからだろうか。
ラウールの表情に注目
このドラマ、愛実の思いはモノローグで補足されるが、カヲルの行動についてはモノローグが一切ない。ゆえに、ラウールの表情のみが頼りとなっているとしみじみ思う。
そういう意味では、この後、窓の外に愛実を見つけてやるせない表情をするのも、カヲルがホストとしてではなく、1人の人間として愛実のことを愛してしまっていることを確信づけるのに十分な要素だった。
さて、先ほど筆者はカヲルが「単純に思いを断ち切れていない」と表現した。
本編の中で、愛実が百々子に「彼も私への思いを断ち切った」と話したときに、百々子が「カヲルちゃんにとっては、そんな重いことじゃないよ。疑似恋愛だって仕事でしょ?あんた、ホストにハマってんだよ!」と返したのが印象的だったからだ。
思いを断ち切る、というのは、疑似恋愛では使われない。しかし、カヲルの愛実に対する思いは回を重ねるごとに、どうしても本物だと思ってしまう。いや、これもまた、カヲルの思いを疑似恋愛だとは思っていない、特別なものだと受け入れている愛実と同じく、一視聴者として彼の真実の愛を信じたいという願望なのかもしれない。
私たちはこのドラマに、どのようなラストを望んでいるのだろう。まだうまく言語化できない、その気持ちを2人の動向を見ながら整理していきたい。
【著者プロフィール:於ありさ】
ライター・インタビュアー。金融機関、編プロでの勤務を経て2018年よりフリーランスに。サンリオ・アイドル・恋愛コンテンツ・ガールズカルチャー・テレビ・ラジオ・お笑い・サッカーが好き。マイメロディに囲まれて暮らしている。
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