ホーム » 投稿 » インタビュー » 日本映画 » 「彼らは“リアル・ルーキーズ”ではない」『下剋上球児』著者・菊地高弘、インタビュー。TBSドラマの原案として話題【後編】 » Page 2

「間違いなく面白いものになる」
『下剋上球児』執筆過程について

写真・武馬怜子
写真武馬怜子

―――執筆されるプロセスの中で、やっぱり難しかった点は、やはりスケジューリングの問題でしょうか。

「そうですね。でも、そこも、苦労といえるほどの苦労でもありませんでした。あの本に関しては、取材がひと通り終わった段階で、10日から2週間ぐらいで書き上げたんですが、僕の中では、苦労して“どうしよう、こうして、ああして、みたいな”という感じよりは、間違えずに書けば、間違いなく面白いものになるから、僕自身が間違えないように、ミスしないように気を付けるだけで、なんか書かされていたような感じでした」

―――インプットしたものをアウトプットするだけでいいんだという感覚ですか?

「素材はもう間違いなく面白いので、書き方さえ間違えなければ大丈夫って感じだったので。だからあれだけの文字数を2週間というはスピードで書けたわけです」

―――このストーリーから、読者であったり、あるいはドラマの視聴者が得られる重要な教訓みたいなものはなんだとお考えですか?

「僕も高校野球の世界とか、取材させてもらう中で感じるんですけど、やっぱり自己肯定感が低い人って多いなと感じています。“いや、もっと自信を持っていいんじゃないの”と思える人でも“いや、僕なんて…”みたいな。そういう思いって、僕もすごく共感できるというか、まあ、気持ちとしてわかるんですけども…。

僕なんてって思っている人でも、突き詰めていけば、意外と自分自身を変えられるというか、それが、下剋上につながるんだと思うんですけど、そういう可能性って多分、いろんなところに転がっていると思うので、ドラマを見るなり、本を読む方が、明日、ちょっと1歩踏み出してみるかみたいな、ちょっと下剋上の1歩を踏み出すという人の背中を押せたら、これ以上の喜びはないなと思います」

―――そういう意味では、日曜の夜にはピッタリのドラマですね。

「そうですね。月曜日から頑張ろうっていう気にさせてくれるようにしたいですね。プロデューサーの新井(順子)さんとお話させてもらう中で、『下剋上球児』っていうタイトルとは、日曜劇場にピッタリだなって思いましたという言葉をいただいて、それはありがたかったですね。タイトルをつけたのは、担当編集者の滝川さん(カンゼン社)なので、本当に、感謝しています」

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!