高橋文哉の演技に説得力がある理由

第1話のナポリタン、第2話ではまかないづくりのシーンが登場する。最初は慣れない厨房でのスピーディーな動きに全く追い付かなかった岳だが、人だけではなく料理の調理工程を踏まえて数学的観点から導線を把握するなど岳らしい才能を発揮して乗り越えた。
その天才的である様子を支えるものとして、高橋の手つきや調理中の姿勢もそのひとつに挙げられる。高橋は調理師免許を取得しているだけに、料理慣れが安定した動作、芝居に繋がっているのではないだろうか。
一つ目のまかないを作る際に、ジャガイモをブルノワーズにするのだが、作業台とほどよい距離を保ち、脇を広げすぎず、腕をまっすぐに引いた。わずかな場面ではあるが、その姿がスマートで、岳の心情と結びついて自信に溢れる芝居を後押ししている。
本作のスタートに向けて応じたインタビューで、料理と芝居を結びつけたかったと語っているように、岳役に高橋は適任、ハマり役なのだ。これから2024年のシーンに向けてどんな手さばきが見られるのか、高橋の料理への向き合い方にも注目したい。
さて、無事に「K」の刺繍入りコックスーツを手にした岳だが、2024年の姿は別人のようだった。無垢であどけない表情を消したものは何なのか。全くもって想像がつかない。
(文・柚月裕実)
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