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「観ている方に応援してもらえる設計にできた」
SFとラブコメディの相性

Ⓒカンテレ

―――ヨーロッパ企画では、過去にもタイムマシンが出てくる作品がありました。本作『時をかけるな、恋人たち』(以降『トキコイ』と表記)のタイムマシンは、キックボードを模した“タイムボード”というものです。今回、キックボードをタイムマシンに選んだ意図はなんですか?

「正規の乗り物では無さそうな感じで、違法感があって、2人乗りが出来るもの。不良が、委員長をバイクの後ろに乗せて走るようなイメージで選びました」

―――作品を観て、映画『ローマの休日』(1953)を連想しました。

「なるほど!あれもまさに逃避行ですね」

―――『トキコイ』前半では、違法タイムトラベラーを取り締まる恋愛パートが1話ずつ描かれます。例えば一途に10年間先生を待ち続ける生徒や、ホストと指名客の恋愛など、視聴者側から観て、この恋は実らないんじゃないか?と思うような関係が描かれていると感じました。このような恋愛関係を敢えて選んだ理由を教えてください。

「今って、恋愛が決してポジティブなものとして受け入れられる訳じゃない時代性というか、もちろん健全に恋愛する分にはいいんですけど。例えば、かつては略奪愛なんかがドラマとしてエンターテイメントが成立していた時代もあるけど、今は不埒なものになっていたり。

今は恋愛の副作用というか、良くない面にも注意が向くようになってきた。ただ、そういう中でも、恋愛が全てをぶっちぎるパワーって、エンターテイメントとして絶対に面白いので。

だからそれを存分にやるためにSFの力を借りて、絶対に破ってはいけないもの、時間、歴史の因果というものを破って逃避行するという形式にしています。

これがね、もっと卑近な、たとえば不倫だったりすると物語が受け入れられにくいけど、SFを使うことによって、ぶっちぎって逃避行することが観ている人にも『いけいけ!』って思ってもらえるドラマだと思っていて。

ホストと客の関係も、お笑いの相方同士の恋愛も、ハードルが高いものを越えるということを、観ている方に応援してもらえる設計に出来たと思ってます」

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