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2023年民放ドラマ表彰式(2)最優秀主演女優賞にふさわしいのは? 文句なしの名演…鬼気迫る芝居が最高だったのは?

text by 寺島武志

2023年も残すところ僅か。今回は2023年の民放ドラマ作品を振り返る「映画チャンネル ドラマアカデミー賞」を開催。「主演男優賞」、「主演女優賞」、「助演男優賞」、「助演女優賞」、「新人賞」、「脚本賞」、「主題歌賞」の7部門から映画チャンネルが独断で選出。今回は今年もっとも輝いた主演女優を選出する。(文・寺島武志)

「主演女優賞」
小芝風花『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)

女優の小芝風花
小芝風花Getty Images

【他のノミネート】

松岡茉優(日本テレビ系『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』)
木南晴夏(日本テレビ系『セクシー田中さん』)
小池栄子(日本テレビ系『コタツがない家』)
門脇麦(日本テレビ系『リバーサルオーケストラ』)

【授賞理由】

この作品に関しては、失礼ながら他のキャストには申し訳ないが、こう断言してしまっていいだろう。

「小芝風花だけを見よ!」と。

それほどまでに、主人公・鼓田ミナレを演じた小芝は、鬼気迫る芝居を見せた。フジテレビ系ドラマ『彼女はキレイだった』(2021)のような正統派美人ヒロインの面影など、完全に消し去ってしまうようなキャラクターを演じ切ったのだ。

スープカレー屋で働くミナレは、超の付くやさぐれ女にして、北村一輝演じるラジオ局のディレクター・麻藤に半分ダマされたような形でラジオのパーソナリティーになってしまう。深夜3時からのオンエアとはいえ、ぶっちゃけ過ぎるマシンガントークを繰り広げる。

驚かされるのは、作中のセリフの多さと長さ。それらを長回しで一気に喋り倒す小芝の迫力に、視聴者は圧倒されっ放しとなる。長年の彼女のファンは、驚きを通り越して困惑したのではないだろうか。原作者の沙村広明をして「こんな可憐な女優さんがミナレ(=めちゃくちゃな女)を!?」「逆にこいつに出来ない役はなんなんだよ…」と言わしめたほどだ。

それは本人も重々承知だったようで、「オファーを受けた時は不安しかなかった」と語っている。しかし、キャストが集合しての本読みで「このドラマは絶対面白くなる」と手応えも感じたという。

小芝風花といえば、2023年秋ドラマ『フェルマーの料理』(TBS系)でも強気な女性シェフ・赤松蘭菜を演じていた。残念ながら評価は振るわなかった印象だが、こちらの印象が強く残っている方も多いかもしれない。しかし、筆者に言わせてみれば、2023年の小芝風花の代表作は『波よ聞いてくれ』で間違いない。

ドラマの登場人物も視聴者も、ミナレに振り回され続ける作品だった。沙村広明による原作漫画が未だ連載中とあって、ぜひ続編を期待したいドラマだ。

(文・寺島武志)

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